財務A:その情報の出元は当の経産省と聞いているよ。「原発ゼロ」発言は資金集め目的の“不純な動機”と思わせたいのかもしれないが、元総理を相手にそこまでやるかね。
総務C:私も違うと思う。経産省が財界に根回しして追加出資の奉加帳を回せば20億~30億円はすぐ集まる。それでは収まらないから官邸も経産省も困っている。小泉さんは安倍総理に対して腹に一物あるのではないか。「自民党内も本音は原発推進と反対が半々」と挑発しているのは、明らかに安倍政権を揺さぶる政治的意図を込めた発言に思える。
民主党も日本維新の会も原発ゼロには乗れないから政治的には大きな動きにはならない、と官邸はタカをくくっているようだが、小泉さんは喧嘩上手。国民を味方につけるアジテーションの才能では安倍総理に勝ち目はない。油断していると、足元をすくわれる。
経産B:わが省の上層部は、小泉さんを裏で煽っているのは財務省ではないかと疑っているけどね。
──黒幕は財務省ですか。
財務A:そんなことしてもわが省には一文の得もない。
総務C:もともと小泉さんは根っからの大蔵族。首相時代は竹中平蔵を重用して財務省と戦っているように見せていたが、郵政民営化の要所になると、首相秘書官だった丹呉泰健(たんごやすたけ)・元財務事務次官(現・内閣官房参与)を通じて財務省を動かし、反対派を切り崩させた。
今回も財務省は小泉さんの反原発会見の前あたりから、経産省批判工作を活発化させ、それに呼応するように自民党の無駄撲滅チームが経産省や電力会社への批判を始めた。小泉さんを利用して経産に一泡吹かせようと考えていることは十分あり得る。
防衛D:財務と経産は原発事故の処理費用の負担をめぐって大バトルの真っ最中ですからね。
※週刊ポスト2013年12月13日号