2013年10月。「阪急阪神ホテルズ」運営のホテルに入る店舗のメニューに、「ウソ」の表記があったことが報じられて以来、あちこちで「ウチのものも違っていました」というニュースが続いています。
そのなかには、「フレッシュジュース」といいながら、“フレッシュじゃなかった”ジュースもありました。
■全部果汁100%… 「フレッシュ」「ストレート」「濃縮還元」のカラクリ
果物や野菜のジュースには、「フレッシュジュース」「ストレートジュース」「濃縮還元ジュース」などがあります。これらの違いは、簡単にいうと「フレッシュジュース」は、いわゆる「生ジュース」。素材を直に絞ったり、ジューサーにかけるなどした、文字通り“フレッシュ”=できたてのものです。
「ストレートジュース」は、果汁100%のジュースで、絞った果汁をそのままパック詰めしたもの。
紛らわしいのが「濃縮還元ジュース」です。これは、ぎゅっと濃縮した果汁に水を加えて、濃縮前の濃度に戻したもの。どうして濃縮するのかといえば、そうしたほうが、輸送コストが抑えられるなどの理由から。海外産の果物の場合、現地で濃縮して、日本で水を加えて販売――というほうが効率的なのですね。
そして、この「濃縮還元」にも「100%ジュース」と書かれているから、混乱する人は多数。「水で戻しているのに、100%?」と違和感をおぼえる声がありますが、これは「元の濃度(100%)に戻しています」ということなのです。
■「香料」が入っていても「100%」表記の理由
「濃縮還元」では、水分を蒸発させて濃縮する際、果汁の香りがとんでしまいます。これを補うため、水を加えて戻すときに加えられているのが、「香料」。元々、果汁に含まれているものを使うため、「果汁100%」とみなされているのです。
■「ポンジュース」はみかん100%じゃない!
ところで、愛媛県発、人気のみかんジュースといえば「ポンジュース」。このラベルをみてみると、
原材料名, 果実(オレンジ、うんしゅうみかん)、香料
果実ミックスジュース(濃縮還元)
となっています。
あの色の濃さからして、「ストレートジュース」だと思っていた人も多いのでは?
そして、実は、原材料にはうんしゅうみかんだけでなく「オレンジ」も入っています。そのため、果汁100%の「ミックスジュース」という表記になっています。
お土産も、実は長野県で売られているドライレーズンがチリ産だったり、福井県などの鯖街道で売られている缶詰の鯖がノルウェー産だったりします。
言葉のもつイメージも大切ですが、知っていて食べるのと、知らないで(別の解釈をして)食べるのでは、気分に違いが出てくるもの。これからは加工地だけでなく、原材料もきちんとチェックすると、いろいろなことがわかって、面白いかもしれません。