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【ドル円週間見通し】米財政協議が合意すればドル買い要因に

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、12月9日~12月13日のドル・円相場の見通しを解説する。

 * * *
 今週のドル・円は、12月17-18日の連邦公開市場委員会(FOMC)でのテーパリング(量的緩和縮小)の必要条件でもある米国議会超党派議員による財政改革協議の進展を見極める展開が予想される。
 
【米国連邦準備理事会(FRB)高官の発言】(9日)
 17-18日のFOMCでのテーパリングの可能性を見極めるため、ブラックアウト期間前の9日が最後の米国連邦準備理事会(FRB)高官による発言日となる。フィッシャー米ダラス地区連銀総裁(2014年投票権:タカ派)、ブラード米セントルイス地区連銀総裁(2013年投票権:ハト派)、ラッカー米リッチモンド地区連銀総裁(2015年投票権:タカ派)の発言に要注目か。

【米国ヘッジファンドと米国企業の決算】
 米系ヘッジファンドは、年末に向けた米国企業の利益送金、12月のFOMCでのテーパリングへの思惑から、99円付近を行使価格、103円台から106円までを消滅条件(ノックアウト)とするドルコールオプションに取り組んでおり、オプション・トリガー(103円)の攻防戦に警戒する展開となる。12月末決算の米国企業は、利益送金のドル買いとなるリパトリ(円建て資産売却・ドル買い)圧力を強めている。

【極東の地政学的リスク】
 北朝鮮の改革穏健派の張成沢国防委員会副委員長が失脚したとの情報を受けて、強硬派の台頭により、朝鮮半島の地政学的リスクが高まることになる。中国が尖閣諸島を含むエリアに防空識別圏を設定したことは、強硬派主導との警戒感が高まっており、東シナ海の地政学的リスクが高まりつつある。極東の地政学的リスクへの警戒感は、東京株式市場の売り要因、円売り要因となる。

【米国議会超党派議員による財政改革協議】(13日)
 米国議会超党派議員による財政改革協議は、合意に近づいたと報じられている。合意した場合、米国政府機関が閉鎖される可能性が無くなり、連邦政府債務上限引き上げに関する懸念も払拭されることで、ドル買い要因となる。

 12月9日~13日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。

○(日)10月国際収支(経常収支)- 9日(月)午前8時50分発表
・予想は+1489億円
 参考となる9月経常収支は+5873億円。貿易収支は-8748億円で赤字幅は9月としては過去最大だった。所得収支の黒字幅は拡大したが、輸入額の減少は当面期待できない。経常黒字額は大幅に減少する可能性があり、市場予想は妥当な水準。

○(米)11月小売売上高- 12日(木)日本時間午後10時30分発表
・予想は前月比+0.5%
 参考となる10月実績は+0.4%。自動車・部品が増加に転じた。自動車や建設資材などを除いた売上高は+0.5%。個人消費はまずまず順調であると判断されており、市場予想は妥当か。

○(米)10月企業在庫- 12日(木)日本時間13日午前0時発表
・予想は、+0.4%
 参考となる9月実績は前月比+0.6%の大幅な伸びを記録。自動車を除く小売在庫は前月比+0.4%。ただし、個人消費動向を正確に見極めることは難しいことから、在庫の大幅な積み増しは期待できない。市場予想は妥当な水準か。

○(米)11月生産者物価指数- 13日(金)日本時間午後10時30分発表
・予想は、全体の数字は前年比+0.8%、コア指数は同比+1.4%
 米エネルギー省によれば、11月のガソリン価格は前月比-2.87%程度。全体のコンセンサスは前月比で予想程度か。11月の輸入物価指数は前月比マイナスと予想されており、生産者物価指数の伸びは鈍化する可能性がある。

 主な発表予定は、9日(月):(日)7-9月期実質国内総生産改定値、11日(水):(日)10月機械受注、(米)11月財政収支、12日(木):(米)11月輸入物価指数

【予想レンジ】
・ドル・円100円00銭~105円00銭

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