――そんなブラック企業への対処法として、法的に訴えるほど体力的にも気持ち的にも余裕のある人は少ない。「辞めることが一番の対処法」との声もある。
佐々木:もちろん、うつ病や自殺にまで追い込まれるぐらいなら、会社を辞める選択肢も否定しません。ただ、「辞めればいい」という意見は、「辞めない人が悪い」という論調につながります。それは悪質なブラック企業の存在を肯定したうえに、被害者の社員に責任転嫁する矛盾した物言いです。
――では、もっとも有効なブラック企業の見分け方や対処法は?
佐々木:入社前は『就職四季報』などを頼りに離職率を調べたり、学校のOBや知り合いでその企業で働いている人がいれば情報を集めるのがいいでしょう。
入社後、労働環境に疑問を感じたら、会社内に労働組合がある場合はそこに相談し、ない場合は労働局や労働基準監督署に相談してみてください。もちろん、われわれ被害対策弁護団も全国に170人いて、電話相談なども受け付けております。
もちろん個別の事案でブラック企業全体がなくなるわけではありません。しかし、誰かが名指しして闘う勇気を持たなければ、ますますブラック企業が社会に蔓延し、日本の社会は活力を失っていくことになるのです。