ライフ

「王道、だけど新鮮」な30才前後の初恋ものマンガが人気

【マンガ紹介】
『ダメな私に恋してください(2)』中原アヤ/集英社/440円
『&(7)』おかざき真里/祥伝社/980円

 少女漫画といえば初恋。このド定番テーマを大人の女性向けに描いた作品が、今、漫画界のひとつのトレンドといえるのかもしれません。

 中原アヤ『ダメな私に恋してください』(集英社)は、アラサーの初恋コメディーです。『別冊マーガレット』で活躍してきた著者が、大人向けの『月刊YOU』で初連載。学校から実社会に舞台が変わって、シビアさと同時にドリーム度も増量して王道展開が繰り広げられます。

 29才のミチコは、勤めていた会社が倒産し現在フリーター、独身金なし色気なし。実は恋愛経験もなし。年下大学生にクレジットカードで買ったプレゼントを貢ぐ日々を送っています。

 かなりの「ダメ」感漂うミチコを助けたのは、かつての鬼上司・黒沢。元・不良でぶっきらぼう(王道!)な黒沢の優しさを知ったミチコは…?

 仕事がないつらさや周りから置いていかれるようなあせりも描かれつつ、ミチコ(ボケ)と黒沢(ツッコミ)のコミカルな会話に引き込まれます。ねぼけた黒沢に間違ってファースト・キスを奪われるなど、少女漫画ど真ん中なアクシデントはやっぱり楽しい! クールな眼鏡男子・黒沢が時々見せるギャップも見逃せません。

 おかざき真里『&』(祥伝社)が描くのは、他人に触られるのが苦手で26才になるまで恋愛をしたことがない薫の初めての恋。繊細で超絶美麗な描写はため息ものです!

 少女漫画といえば「バックに花」ですが、『&』では蓮の花や透明な泡がコマを飾ります。ただきれいなだけではなく、水の中のように静かで孤独、でも本当はさまざまな想いが溢れている薫の心の中が泡の効果からさりげなく読み解けます。

 兼業の意味が込められた『&』というタイトル。医療事務とネイルサロンのダブルワークをする薫の背景に、現代の空気をヒリヒリ感じることも。年上の恋人に自分の仕事を軽く見られたことで落ち込んだりすることもあります。

 初恋のトキメキだけではなく、働いて生きていく中で感じるモヤモヤが胸に刺さります。

(文/横井周子)

※女性セブン2014年2月13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
地雷系メイクの小原容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「家もなく待機所で寝泊まり」「かけ持ちで朝から晩まで…」赤ちゃんの遺体を冷蔵庫に遺棄、“地雷系メイクの嬢”だった小原麗容疑者の素顔
NEWSポストセブン
渡邊渚さん
(撮影/松田忠雄)
「スカートが短いから痴漢してOKなんておかしい」 渡邊渚さんが「加害者が守られがちな痴漢事件」について思うこと
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)は被害者夫の高羽悟さんに思いを寄せていたとみられる(左:共同通信)
【名古屋主婦殺害】被害者の夫は「安福容疑者の親友」に想いを寄せていた…親友が語った胸中「どうしてこんなことになったのって」
NEWSポストセブン
高市早苗・首相はどんな“野望”を抱き、何をやろうとしているのか(時事通信フォト)
《高市首相は2026年に何をやるつもりなのか?》「スパイ防止法」「国旗毀損罪」「日本版CIA創設法案」…予想されるタカ派法案の提出、狙うは保守勢力による政権基盤強化か
週刊ポスト
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
米女優のミラーナ・ヴァイントルーブ(38)
《倫理性を問う声》「額が高いほど色気が増します」LA大規模山火事への50万ドル寄付を集めた米・女優(38)、“セクシー写真”と引き換えに…手法に賛否集まる
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
《再スタート準備》中居正広氏が進める「違約金返済」、今も売却せず所有し続ける「亡き父にプレゼントしたマンション」…長兄は直撃に言葉少な
NEWSポストセブン