国際情報

日本統治時代を評価した韓国の歴史教科書に韓国左派猛烈妨害

 韓国版「新しい歴史教科書」は、元慰安婦まで引っ張り出した左派の妨害工作により、採択ゼロとなった(※注を参照)。その状況について、産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏が報告する

 * * *
 日本統治時代の「正しい歴史」を記した韓国高校歴史教科書をめぐる左右両派による激しい「歴史戦争」は左派の勝利に終わった。3月からの新学期を前に、右派が初めて検定を勝ちとった「新しい歴史教科書」が学校側でまったく採択されなかったのだ。

 採択率は「2352対0」。右派の完敗だった。その最大の背景は、左派による執拗な採択妨害工作だった。約20校がいったんは右派の新教科書採択を決めながら、後にすべて採択を取り消してしまったのだ。

 採択を決めた学校には左派系の教員労組「全教組」や野党、市民団体、同窓生、父母などが抗議に押しかけ、脅迫電話が鳴り続けた。中には元慰安婦の老女を押し立て校長を吊るし上げるという風景もあった。韓国では元慰安婦は今や反日・民族英雄として「聖女」化され「慰安婦サマのお通り!」となるとみんなひれ伏すからだ。

 慰安婦問題でいえば、新教科書(教学社版)は当初、史料として掲載した慰安婦たちがトラックで移動する写真に「韓国人慰安婦は日本軍部隊が移動するたびについて行く場合が多かった」と記述していたが、左派サイドから非難が殺到。これに押され後に「韓国人慰安婦は軍駐屯地で搾取されるだけでなく戦線に動員され強制的に連れて行かれる場合が多かった」と修正している。既存の慰安婦強制連行説への屈服である。

 また日本統治時代の経済についても圧力がかかり「日本への米の輸出」を「米の搬出」に、「日本資本の進出」を「日本資本の浸透」と書き直している。前者は「搬出」とすることで日本に米をタダで持ち出したかのような印象にし、既存の「収奪史観」に妥協した記述になった。

 右派の新教科書は採択実現のため妥協を重ねたにもかかわらず結果は採択ゼロだった。新教科書保護のため教育省は採択取り消しの学校に対する圧力の実態について調査まで行なったが、組織的・計画的な全国ネットによる左派の攻撃には勝てなかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「完封デート」の小笠原慎之介選手(時事通信)
中日・小笠原慎之介“北川景子似美女”と焼肉→ホテルの「完封デート」撮 “モテないキャラ”も育んでいた遠距離愛
NEWSポストセブン
殺人容疑で逮捕された内田梨瑚容疑者(SNSより)
《17歳の女子高生を殺害》昼は化粧品店で働いた内田梨瑚容疑者(21)が旭川の繁華街「未成年飲酒・喫煙」界隈で見せていた「ヤンキー系」素顔
NEWSポストセブン
松本潤
松本潤、新会社の登記簿に「仮想通貨の企画」「美容サロンの経営」「農業」の項目 幅広い人脈から見えるビジネスの勝算
女性セブン
トンボ論文で話題になった悠仁さま
悠仁さま「トンボ研究」が一段落 赤坂御用地内の御池の改修工事は10年の沈黙を破って再開
女性セブン
殺人容疑で逮捕された内田梨瑚容疑者(SNSより)
「リコ的に“年下に舐めた態度をとられた”」17歳女子高生を橋から落とした21歳容疑者が引けなくなった「イキリ体質」証言【旭川・女子高生殺害】
NEWSポストセブン
都知事選出馬表明の石丸伸二氏にオバ記者が突撃!「大学時代の交際歴はない」「読んだ漫画は2万冊超」…その素顔に迫る
都知事選出馬表明の石丸伸二氏にオバ記者が突撃!「大学時代の交際歴はない」「読んだ漫画は2万冊超」…その素顔に迫る
女性セブン
三田寛子と中村芝翫夫婦の家で、芝翫と愛人が同棲しているという
【不倫真相スクープ】三田寛子、実家を乗っ取られた? 中村芝翫と愛人の生活が“通い愛”から同棲に変化 ガレージには引っ越しの段ボールが山積み
女性セブン
自転車で牧場を回られる陛下、雅子さま、愛子さま
愛子さまが御料牧場でタケノコ掘り、ご一家でのサイクリング、愛猫&愛犬…貴重な写真を公開
女性セブン
アジア最大級の音楽授賞式がさいたまスーパーアリーナで行われた際、公演前にレッドカーペットに登場(写真/ゲッティ)
【祝・JIN除隊】日本デビュー10周年のBTS レッドカーペット、お披露目ライブ、始球式、吉本新喜劇…写真で振り返る日本での歩み
女性セブン
内田容疑者
橋から17歳女子高生を突き落とした内田梨瑚容疑者(21) 中学時代に起こしていた着替え画像拡散いじめ「ターゲットを激しく入れ替えて…」【旭川・女子高生殺害】
NEWSポストセブン
中村芝翫と三田寛子
三田寛子、夫・中村芝翫と愛人の“半同棲先”に怒鳴り込んだ「絶妙タイミング」 子供たちも大事な時期だった
週刊ポスト
東京ディズニーシー新エリア“アナの声”は、神田沙也加さん“最後の肉声”か?“後継者”の声か? ファンの間で噂が広がる
東京ディズニーシー新エリア“アナの声”は、神田沙也加さん“最後の肉声”か?“後継者”の声か? ファンの間で噂が広がる
女性セブン