ライフ

65歳間近 住み慣れた家は売るべきか、住み続けるのが良いか

 人生100年が当たり前の時代が目前、究極の選択で失敗しないことは重要だ。例えば、持ち家は「売る」か「住み続ける」か。

 この春に65歳を迎える都内在住の男性・Aさんは、住み慣れた家を売るか、そのまま住み続けるかで悩んでいる。

「3人の子供もみんな独立し、定年延長で続けてきた仕事も今年で退職。今の家は夫婦2人には広すぎるし、将来、管理が大変になりそう。でも、せっかくローンを完済した家を売るのは損な気がするし……」

 ファイナンシャルプランナーの紀平正幸氏によれば、Aさんにはいくつかの選択肢があるという。

「まず有効なのが、子供がいた時代の広い家を売り、2人暮らしに十分な規模の安い中古住宅などに買い換えること。売った額と買った額の差を老後資金に回すことができます。ただし、いざ新しい家で暮らし始めたら自分たちの生活に合わなかったというケースも往々にしてある。そのリスクを避けるには、持ち家を売らずに賃貸に回し、自分たちはそれより安い賃貸物件に移って、その地域が住みやすいかどうかを判断するための試行期間を置く方法があります」

 試しに賃貸で住んでみて「この地域なら快適に暮らしていける」と思ったら、家を買い換えればいいというわけだ。家を売らず貸し出したまま、自分たちも賃貸住宅に住み続ける選択肢もある。

「都内の一軒家ならば、だいたい月15万円程度の家賃収入が期待できます。自分たちは月8万円程度の賃貸物件に住めば、差額で年間80万円以上の定期収入を得られるのです」(紀平氏)

 持ち家はあっても、それ以外に資産がほとんどないという人には、「リバースモーゲージ」という選択肢もある。これは、自宅を担保にして、融資を年金のような形で受け取るもので、死亡時に持ち家を売却することで借金を一括返済する仕組みだ。この制度を利用すれば、自宅に住み続けながら、老後の資金を調達することができる。

 ただし、不動産価格の下落や金利上昇による借入残高の増加、長生きによる融資期間の長期化などで、担保割れを引き起こすリスクがあることは覚えておかなければならない。

 紀平氏が「最良の方法」として紹介するのが、親が持ち家を売り、その資金で駅に近い土地を購入、建物の建築資金を親子で負担して二世帯住宅を建てることだ。

「親世帯、子世帯の双方が住宅取得資金の問題を解決できるうえ、相続財産が金融資産から住宅用資産に代わる。また、同居もしているため相続税評価額の特例が適用されます(宅地分の相続税が80%減となる。ただし土地面積による)。さらに二世帯住宅を3階建てにし、1階を店舗や車庫として賃貸すれば、その収入が親の老後資金にも充当できます」(紀平氏)

※週刊ポスト2014年3月7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン