国内

製薬会社の闇 医師にカネ渡す営業で販売促進を図る慣習あり

 本誌・週刊ポスト2月21日号がスクープした国立大学現役教授による実名証言が大きな反響を呼んでいる。中国地方の名門国立大・岡山大学の森山芳則・薬学部長と榎本秀一・副薬学部長が、これまで厚いベールに覆われていた「製薬会社と大学医学部の癒着の現場」を初めて白日の下に晒したのだ。

 製薬会社から金銭的支援を受ける代わりに、大学の医学部教授らが臨床試験のデータを操作し、製薬会社に有利な論文を執筆するなど、不正論文が同大医学部内で横行している実態を生々しい証言で暴いたのである。

「ポストの発売当日、『どういうつもりだ!』と、岡山大のある教授から抗議の電話がかかってきました。長年、隠蔽されてきた不正に光を当てたため、大学内でも私たちを黙らせようとするプレッシャーは大きい。

 しかし、それ以上に多くの研究者や職員、学生、薬を服用している患者さんや一般市民の方々から激励をもらった。テレビ局や雑誌メディアなど、マスコミからの接触も相次いでおり、この問題に対する社会の関心の高さに驚いています」(榎本教授)

 本誌編集部にも雑誌発売後、「ウチの医学部にも同じような不正論文を疑われるケースがある」といった情報提供が複数寄せられた。医師が製薬会社と結託して、ありもしない薬効などを捏造した論文が全国的に乱発されている──。森山教授らの告発はまさにパンドラの箱を開けたといえる。

 患者を欺く不正論文の存在が公になったケースは過去も度々あった。2003年、昭和大藤が丘病院の腎臓内科に所属していた医師(当時)が、英医学誌に腎臓病の投薬治療に関する論文を投稿した。

 内容は、臨床研究の結果、慢性腎臓病患者には2種類の薬を併用する方法が有効だとしたものだったが、その後、海外の研究チームが併用投薬した患者で逆に腎機能が低下したケースがあると、論文の内容に疑義を呈した。

 その後の調査で、論文に引用されたデータと実際の患者の検査データが一致しなかったことなどが判明。2009年、結局、論文は取り下げられることになった。

 その時点では、実際の治療現場で論文が推奨する併用投薬が採用されていなかったことに、胸を撫で下ろすばかりだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン