4月の消費増税率の引き上げは、景気のみならず株式市場への影響も懸念されているが、ひるがえって前回1997年の消費増税時はどうだったのか。今後の投資戦略の参考とすべく、当時と現在の金融情勢の違いを、カブ知恵代表・藤井英敏氏が解説する。
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4月1日に消費税率が8%に引き上げられ、その影響が気になるところだが、まず大前提として、増税は株式市場にマイナス効果をもたらす。消費増税によって家計が圧迫されれば、株式投資をする余裕など生まれないのは想像に難くないだろう。
実際、消費税率が3%から5%へと引き上げられた1997年の状況を振り返ってみても、まさにそうだった。
日経平均株価が1989年末の最高値から右肩下がりの状況が続いたなか、タイや韓国などの新興国通貨が相次いで暴落する「アジア通貨危機」が発生。国内では不動産バブル崩壊で銀行が巨額の不良債権処理に追われるなど、そもそもデフレ圧力が強かったタイミングで、消費増税が実施された。いうまでもなく、資産価値が目減りするデフレは株価にとってマイナス材料となる。
これに対し、「物価の番人」である日本銀行は、インフレ退治という物価の安定を長らく重視してきたため、貨幣価値を引き下げてまでインフレを目指すようなスタンスなどとれるわけもなかった。デフレを食い止めて株価を上げようなどとは考えもしない金融当局の無頓着さが、1997年11月の山一証券や北海道拓殖銀行などの破綻、さらには日本長期信用銀行や日本債券信用銀行が姿を消すという金融危機へとつながっていったのだ。