ビジネス

ソニーを支えるPS4「5年で世界1億台売れないと失敗」と識者

 業績不振が止まらず、パソコン、TVなど次々と主力事業の縮小を迫られているソニー。2014年3月期の連結業績も、300億円の黒字予想から一転、1100億円の赤字に沈む見込みで、もはや家電メーカーとしての矜持を保てない緊急事態となっている。

 そんな中、ソニー復活の“救世主”になるのでは? と報じられているのが、昨年11月より欧米先行で発売された家庭用ゲーム機『PS(プレイステーション)4』だ。

 今年3月2日時点で全世界の販売台数が600万台を超えたとのアナウンスもあり、スマホやオンラインゲームが主流の時代において、大方の予想を上回る売れ行きをみせている。

 さらに、2月22日に発売された日本でも9日間の累計販売台数が37万台を超え、ソニー・コンピューターエンタテインメント(SCEI)の社長兼グループCEO、アンドリュー・ハウス氏が、<日本においても素晴らしいスタートを切ったことを大変嬉しく思います>とコメントを出した。

 しかし、日本の初動販売は「喧伝されているほどの勢いはなかった」と指摘する向きもある。エース経済研究所アナリストの安田秀樹氏がいう。

「生産が遅れて発売初日から品薄だった前作のPS3に比べれば倍くらい売れていますが、ライバルである任天堂の『Wii U』は2週で43万台を売りましたし、初動で50万台を突破しないとハード機ビジネスとしてはなかなかうまくいかないケースが多い。この程度の台数では日本での成功は難しいかもしれません」

 欧米をはじめワールドワイドで爆発的なヒットを飛ばしているPS4が、肝心の本拠地で今一つなのはなぜか。

「据え置き型のゲーム機マーケット自体が縮小していることに加え、2月と8月はもともとモノが売れない時期で発売のタイミングが悪過ぎた。また、メインのゲームソフトは『三國無双』や『龍が如く』、それに海外タイトルも含めてどれも戦闘アクションゲームばかり。広く日本のゲームファンの趣向に合うラインアップとはいえない」(ゲーム雑誌編集者)

 今後はカプコン、コナミ、スクウェア・エニックスといった日本の有力ソフトメーカーからも続々とPS4向けのタイトルが登場する予定になっている。メジャータイトルの増加がハード機の販売台数の底上げ要因にはなりそうだが、リリースのスピード感は絶対条件となる。

「ハード機のビジネスサイクルは5年。それまでに全世界で1億台売れるかどうかが成否を分けます。成功するためには少なくとも初年度に2000万台、日本だけでは300万台の販売が必要です。いまのところ日本は弱いので、PS4は世界販売の勢いをどこまで維持できるかにかかっているでしょうね」(前出・安田氏)

関連記事

トピックス

遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
大分県選出衆院議員・岩屋毅前外相(68)
《土葬墓地建設問題》「外国人の排斥運動ではない」前外相・岩屋毅氏が明かす”政府への要望書”が出された背景、地元では「共生していかねば」vs.「土葬はとにかく嫌」で論争
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
《悠仁さまの周辺に緊張感》筑波大学の研究施設で「砲弾らしきもの」を発見 不審物が見つかった場所は所属サークルの活動エリアの目と鼻の先、問われる大学の警備体制 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン