除染作業員の募集広告を見ると「初心者歓迎」「高収入のお仕事」といった文言が並ぶ。まるで性風俗産業の広告のようだ。そして、「高収入」を払ってもなお業者が利益を出せるということである。
福島県の除染基準要項によれば戸建て住宅1軒の除染費用の目安は70万円で、「1軒の除染に4日、5~6人でやったとして一人で一日3万円弱稼いだ計算」(同前)ということになる。現場作業員は地元の三次、四次下請けの業者に雇われていることが多いという。業者が各段階でマージンを取っても十分に利益が出る。
これら除染事業は大手ゼネコンを中心としたJVが見事な棲み分けで落札している。2013年度発注の事業でいくつか例を挙げると、
●大熊町/清水建設・大林組などのJV、契約額151億2000万円
●南相馬市/大成建設などのJV、241億2900万円
●富岡町/鹿島建設などのJV、573億3000万円
といった具合だ。
ゼネコン各社は本格的な除染事業が始まる前の2011年に、日本原子力研究開発機構からの委託(随意契約)で実験的な除染モデル事業を行なっている。多くの自治体ではモデル事業を行なったゼネコンがそのまま本事業も落札した。
しかも復興庁の行政事業レビューシートを見ると契約額の大きい除染工事の落札率はいずれも90%を超え、中には1社しか入札していない工事もある。普通の公共事業なら官製談合を疑う声が出てもおかしくないケースだが、ここでも除染は特別視されて批判を免れている。
ともあれ単純作業ばかりの巨額事業、競争相手もいない入札で業者はボロ儲けできる仕組みなのだ。
※SAPIO2014年4月号