芸能

演出家・和田勉の名言「テレビはアップだ」を女性作家が考察

 ヒットの法則を考える上でも、歴史に学ぶことは少なくない。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 水谷豊主演の「相棒」、シーズン12が終わりました。「相棒」はまさしくテレビ朝日の「目玉コンテンツ」。たとえ「マンネリ」とか「茶番」という野次が外野から聞こえてきても、シリーズ12の平均視聴率は19.6%と高い数値をマーク。毎シーズン、コンスタントに視聴率を稼ぎ出す、優等生です。

 ドラマが終了したら、続けて映画版へ。ゴールデンウィークに公開される『相棒 -劇場版III- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ』の予告が、ドラマの合間にすかさず流されます。

 かつて、「映画は大作、テレビドラマは小品」という価値観がありました。しかし、その「格」差は、どんどん小さくなりつつある。ドラマと映画が横並びになり、垣根がなくなってきている。「相棒」はその代表とも言えるのではないでしょうか。

 そもそも、ドラマと映画は何が違うのだろうか? それぞれの表現手法に、どんな個性があるのか? ドラマにしかできないこととは何? 映画でしか表現できないポイントとは?

 よくわからない。ますますドラマと映画が似通ってきているように思えてならない昨今。実は、その回答に対するヒントが潜んでいそうな、ユニークなドラマが放送されています。

 NHK「30周年記念制作ドラマ」。

 今から31年も前、1983年に制作された「勇者は語らず」(4回シリーズ BSプレミアム日曜午前10:00)が再放送中です。30年前のドラマと今とを比較できる、貴重な機会です。

 原作は、城山三郎。舞台は、日本の自動車産業が世界へと進出し、激しい経済摩擦を生んでいたあの頃。日米対立、雇用問題、下請けの葛藤等、真正面から描いた硬派なビジネスもの。

 登場する役者は、キラ星のごとく三船敏郎に丹波哲郎、鶴田浩二、山崎努、柴田恭兵、寺島(富司)純子、名取裕子、吉行和子……そして演出は、和田勉。

 丹波哲郎が、眉間に深いシワを寄せて唸る。寺島純子のまつげが、ぱさぱさっと揺れる。人間の顔が不自然なほど大写しになる。画面から額が切れてしまうくらい、極端にズーム。

 そんなにアップすれば、当然ながら、目が大きな面積を占める。役者が微妙に目を動かすだけで、感情の揺れや葛藤がくっきりと浮き上がってくる。説明する言葉がなくても、さまざまな物語が目から生まれてくる。伝わってくる。俳優たちは、決して目玉をきょろきょろ無造作に動かしたり、意味なくまばたきしたりしない。小芝居はしない。ぴくりともしない。

 そんな「静」の時間があるからこそ、ほんの少し瞳やまつげを「動かす」ことで、「劇的なる変化」が生まれる。ねらった「ドアップ」シーンの連続。最近のドラマとのあまりの違いに驚かされました。

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)が犯行の理由としている”メッセージの内容”とはどんなものだったのか──
「『包丁持ってこい、ぶっ殺してやる!』と…」山下市郎容疑者が見せたガールズバー店員・伊藤凛さんへの”激しい憤り“と、“バー出禁事件”「キレて暴れて女の子に暴言」【浜松市2人刺殺】
NEWSポストセブン
WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ
《熱愛ツーショット》WEST.中間淳太(37)に“激バズダンスお姉さん”が向けた“恋するさわやか笑顔”「ほぼ同棲状態でもファンを気遣い時間差デート」
NEWSポストセブン
アパートで”要注意人物”扱いだった山下市郎容疑者(41)。男が起こした”暴力沙汰”とは──
《オラオラB系服にビッシリ入れ墨 》「『オマエが避けろよ!』と首根っこを…」“トラブルメーカー”だった山下市郎容疑者が起こした“暴力トラブル”【浜松市ガールズバー店員刺殺事件】
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ(右・Instagramより)
《スクープ》“夢の国のジュンタ”に熱愛発覚! WEST.中間淳太(37)が“激バズダンスお姉さん”と育む真剣交際「“第2の故郷”台湾へも旅行」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト