「中国の富豪は親子、兄弟など同族経営が主」との調査結果が明らかにされた。中国政府のシンクタンク、中国社会科学院の呂鵬系・私営企業主グループ研究センター副秘書長がまとめたもの。中国人は血がつながった家族や親族を中心にまとまるとの傾向が強いされてきたが、これはビジネス面でも顕著な特性といえそうだ。また、約8割の経営者が外国籍を取得していることも明らかになった。
これは米経済誌「フォーブス」の世界の富豪ランキングで、2003年から2012年の10年間に登場した中国人ビジネスマン211人を対象に調査したもので、平均年齢は53歳。女性は22人しかおらず、ほとんどが男性で、起業した平均年齢は1992年以前が29歳、それ以降は32歳とほとんど差がなかった。
経営者の形態としては夫婦が19組、父子は4組、兄弟4組、母と娘が1組、父と娘1組で、「××家族」という形式が16組だった。これだけで45組で経営者以外にも取締役や重役などに複数の親族がいる企業が150社以上で、いわゆる“同族経営”が大半を占めている。
211人の企業家のうち、中国本土の国籍を保有している者はわずか46人と全体の21.8%に過ぎず、他のほぼ8割が外国籍や香港籍であることも分かった。この8割の企業家の家族もほぼ外国籍を取得しているほか、本土の国籍を有している企業家の家族もほとんどが外国籍を持っていた。
ここ数年、中国共産党幹部の家族や富裕層の海外移住者が多いと伝えられているが、今回の調査で、それが裏付けられた形だ。
企業家の出身階層だが、父親の消息がまったく不明が全体の16.7%であるほか、全体の39.3%の83人が極貧層の出身であることも興味深い。最底辺からのし上がってきた立志伝中の人物が多いといえそうだ。これは、華人実業家ではランキング1位の香港の長江実業集団総帥の李嘉誠氏にも当てはまっている。
とはいえ、全体の15.6%に当たる33人の企業家の父親は党・政府・軍系企業の高級幹部であり、さらに22人が私営企業の幹部であることが分かっており、こんなところにも親のコネクションが子どものビジネスにも利用されているという、中国のコネ社会の実態をうかがわせている。
教育レベルは全体の半数の50.2%が大学卒レベルで、このうち17人が修士課程、3人が博士課程をそれぞれ修了している。