このような懸念が、安倍内閣が消費増税を正式に決定して以降、市場に燻っていた。おそらく、昨年末に2014年度予算案が固まり、懸念が現実となったことを受けて、海外投資家は年頭から日本株を大幅に売り越しているのである。
このリスクについては、わが国においても、マスメディアはともかく財政当局は当然熟知していよう。それでも、次代のための財政健全化を錦の御旗にして消費税の倍増を企図しているところで、増税分を超えた景気対策を組むのは政治的なリスクが大きい。
安倍晋三首相が世界経済フォーラムでスイスまで出張って宣言してきた法人税の減税にしても、消費税の倍増とセットとなれば暴動が起きてもおかしくないような話であって、早期の実施は困難であろう。
財政当局としては、ここは、アベノミクスやらオリンピックやらNISA(少額投資非課税制度)やらで気分を盛り上げてもらって、2014年度の上半期だけでもなんとか無事にやり過ごし、消費税10%を神にすがってでも勝ち取りたい一心であろう。
しかし、国民の気分はごまかせたとしても、海外投資家が牛耳る株式市場がそれまで持つかどうか。
※マネーポスト2014年春号