ビジネス

消費増税が正規雇用者を減らすカラクリ 女性経済学者が解説

「消費税は公平な税制ではありません」と指摘する岩本沙弓さん

 国民生活に負担を強いる消費増税が実施された。国は3%の増税で約7.5兆円の収入増をあてこみ、「社会保障費への捻出」「物価上昇による景気拡大、雇用創出」などバラ色の未来を描いているようだが、そんなにうまくいくのだろうか。

 一貫して「消費税は公平を謳いながら、実は不公平な税制」と指摘する大阪経済大学経営学部客員教授の岩本沙弓さんが、消費増税“賛成論”のウソを暴く。

 * * *
 消費税増税の推進する向きからは、賛成する理由として賃金に対して直接の負担を求める社会保険料に比べても雇用の創出に中立的だから、という点があげられています。果たして本当に中立的なのかどうか、ここは大きな疑問が生じます。

 消費税の納税額の算出方法を簡略化すると、「(売上―経費)×消費税率」ということになります。消費税の納税義務のある事業主としてみれば、いかに「経費」の部分を多く積み上げられることができるか、それ次第で消費税の納税額が変わってきます。

 ポイントはこの「経費」に人材派遣業社などへの支払いを含めることができるということ。言葉は悪いですが、非正規労働者はモノのように扱われることで「経費」の一部と見なされ、「売上」から引くことが可能となります。

 その結果、消費税の納税額を減らすことができる、という仕組みとなっています。つまり、消費税を導入すればするほど、そして税率が上がれば上がるほど正規雇用者の数はますます減少しやすくなるのです。

 消費税導入、橋本政権下で3%から5%へと引き上げの歴史と、非正規労働者が増加の時期は、もちろん小泉政権下での雇用の規制緩和も併せてということになりますが、重なっていると言っても過言ではないでしょう。

 正規雇用を減らし、非正規雇用を増やす作用のある税制度が果たして雇用の創出に中立的と言えるのでしょうか。

関連キーワード

トピックス

記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国分太一コンプラ違反で解散のTOKIO》山田美保子さんが31年間の活動を振り返る「語り尽くせぬ思い出と感謝がありました」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン