では、イオンのほかに独自のスマホ販売に乗り出す可能性が高いのはどこか。
「たとえばビックカメラをはじめとする大手の家電量販店は、すでに格安SIMカードを販売して、それに適したデータ端末も売っていますので、その先に独自ブランドのスマホを企画しても不思議はありません。
また、消費者から月々料金を徴収する仕組みをもっているような業種は参入しやすいと思います。電気・ガス会社、あるいは地方のケーブルテレビ局(CATV)などは有望です。ガスのインフラを持っているTOKAIなどはブロードバンド事業にも熱心で自らMVNOにも参入していますし、CATVもブロードバンドの通信事業は慣れています」(木暮氏)
格安スマホ参入で残る課題は、端末メーカーがどこまでキャリアに気兼ねなく低価格の機種を第三者に提供するかにあるが、そのハードルも下がっていると木暮氏。
「世界を見渡せばソニーの高性能機種として知られるエクスペリアでも、中国版は1万円以下の廉価版を出していますし、いまは世界共通のOSで海外メーカーの安い機種も日本で認証さえ取れば使える時代。そう考えると、ユーザーの使い方に応じて幅広い価格帯のスマホを自由に選べるようにならなければ、ますます日本だけ世界の趨勢から取り残されてしまうでしょう」
行き過ぎたキャッシュバック(現金還元)や“乗り換え割”など露骨な販売手法を改めようという流れになっている日本のキャリア。いまがMVNOサービスを含めた「格安スマホ」が日本に根付くかどうかの分水嶺といえる。