しかし、この結果を導き出すためには多くの“見込み違い”もあったという。

「実はZ―100の濃度を3段階に分けて、有効性を比較する臨床試験も行ったのですが、なんと高用量のほうが生存率が悪いという結果になってしまったんです。つまり、丸山ワクチンをたくさん使用すると毒になるのではないかと、一時騒然となりました。

 でも、よくよく掘り下げてみると、高用量の生存率は従来の放射線治療のみの生存率と同じで、低用量を用いることで子宮頸がんの予後が良くなっているという驚くべき現象であることが分かったのです」(藤原氏)

 これら画期的な臨床結果は、昨年ASCO(米国臨床腫瘍学会年次集会)でも報告されたが、残念ながら患者の子宮頸がんの進行度にばらつきがあるなどして、「統計学的には意味のある差とはいえない結果になってしまいました」(藤原氏)という。

 今後は効果をよりはっきりさせるため、末期の子宮頸がん患者に限定し、臨床試験の範囲を日本だけでなくアジア各国にまで広げていく方針だ。「丸山ワクチンは免疫賦活剤なので、理論的にはどんながんにも一定の効果があるはず」と期待を込める藤原氏。

「ひとつのがん種の治験をやり直すだけでも5年~7年はかかり、莫大な金もかかる」(医療関係者)ため、広くがん治療の“特効薬”として再び承認を得るのは容易ではない。だが、開発から半世紀の時を経ても、丸山ワクチンが色褪せていないことだけは確かだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

橋本環奈
橋本環奈、熱愛報道から“逃げない姿勢”で好感度アップ 世代問わず支持される理由
NEWSポストセブン
1987年の結成以来、35年にわたって旧統一教会と対峙してきた全国弁連
旧統一教会と対峙する霊感商法対策弁護団の戦いの歴史 転機となった「青春を返せ」訴訟
週刊ポスト
『鎌倉殿の13人』にどんな類似性が?(番組公式HPより)
『鎌倉殿の13人』は実録ヤクザ映画だ 鈴木智彦氏が分析する山口組との類似性
週刊ポスト
話を聞いた男性。ビラを隠すように巻いた
習近平退陣デモを目撃した在日中国人が予言「この運動はあと2週間で終わる」
NEWSポストセブン
まさかの起用も?(時事通信フォト)
崖っぷちの岸田文雄・首相 政権延命のため菅義偉氏を官房長官に起用するプランも
週刊ポスト
日本代表の家族もそれぞれの応援席から必勝を願った(左から真野恵里菜と由布菜月/本人のインスタグラムより)
W杯カタール大会 熱い応援で盛り上げる選手の家族&注目サポーターたち
週刊ポスト
旧統一教会の被害者救済のため献身する全国弁連(時事通信フォト)
旧統一教会を追いつめる弁護団の軌跡 きっかけとなった「200万円の大理石の壺」
週刊ポスト
上海のウルムチ路でデモは起こった
習近平主席への「中国コロナ一揆」ルポ 天安門事件以来となる“全土での抗議活動”に
週刊ポスト
本田圭佑氏の解説が視聴者の心を掴んでいる理由をデータで解析(Getty Images)
「PK!」「ファール!」「イエス!」本田圭佑氏の絶叫回数は松木安太郎氏以上だった
NEWSポストセブン
愛子さま 会見、成年行事…成人を迎えられてからの1年を写真で振り返る
愛子さま 会見、成年行事…成人を迎えられてからの1年を写真で振り返る
女性セブン
1980年代、役者としてデビューしたばかりの渡辺徹さん
《追悼》渡辺徹さんが闘病中、親友の茨城・古河市長に語っていた覚悟「役者は体が弱いと思われると、仕事がこないんだ」
NEWSポストセブン
雅子さま、“見えざる病欠”連発が愛子さまに影響も ご自覚が揺らいでしまう懸念
雅子さま、“見えざる病欠”連発が愛子さまに影響も ご自覚が揺らいでしまう懸念
女性セブン