証券会社側が投資家に株を買ってもらうために「今年は上がるぞ」と強気な読みをするのはいわば当然だろう。一方、同じ市場関係者でも、ロイターのコラムのように悲観的な分析もある。メディアに問われるのは、「ポジショントーク」を垂れ流すのではなく、情報の内容を精査して正確な分析を読者に伝える能力のはずだ。
だが、元日本証券経済研究所主任研究員で経済評論家の奥村宏氏は、「日経には情報のチェックがなく、財界と霞が関の宣伝紙になった」とこう語る。
「経済紙の読者はどの企業の株を買えば儲かるかを知りたいから、企業の好材料がほしい。それでも、情報が正しいか、妥当かを精査した上で報道するのがメディアの使命で、米国の『ビジネスウイーク』や英国の『ロンドンエコノミスト』などは企業や政府に厳しい記事も多い。日経新聞もかつては企業や政府の方針を批判する記事を書いていた。
しかし、不況で広告が集まらなくなると、より財界寄り、政府寄りの記事が増え、今や財界や霞が関がアピールする情報をそのまま無批判に載せる宣伝紙になってしまった。記事を読んだ読者は、最初は景気がどんどん良くなり、株価が上がるように思って歓迎しても、現実は株価が必ずしも上がらないから、日経に対する信用も低下している。それでも懲りずに日経は株が上がるという大本営発表を流し続けています」
※週刊ポスト2014年5月2日号