投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、5月12日~5月16日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、11日のウクライナの東南部での州の住民投票の結果を踏まえ、25日のウクライナ大統領選挙への警戒感から、リスク回避の円買いで上げ渋る展開が予想される。しかしながら、6月から本格化することが予想される年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額期待から下値は限定的か。
【日本の3月経常収支】(12日)
日本の3月の経常収支は、+3477億円と予想されており、予想通りならば、2013年度の経常収支は、約1兆円程度の経常黒字となることが見込まれている。しかしながら、2013年度の貿易収支は、過去最大規模の貿易赤字を記録しており、経常収支も2013年10月から2014年1月まで4ヶ月連続で経常赤字を記録しており、円安のマグマが蓄積されつつある。
【日本の1-3月期国内総生産(GDP)】(15日)
日本の1-3月期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率+4.2%と予想されており、10-12月期の前期比年率+0.7%からの改善が見込まれている。日本銀行の追加緩和は、消費増税の影響を受けた4-6月期のGDPと4月のコアインフレ率を確認してからと予想されており、市場への影響はあまり無いと思われる。
【ウクライナ情勢】
5月25日のウクライナ大統領選挙に向けて、11日には東南部の州で住民投票が実施され、ウクライナ東南部へのロシア軍による軍事介入の可能性、内戦勃発の可能性が高まりつつある。
大統領選挙で親欧米派が勝利した場合、ロシアは6月1日からの天然ガスの供給停止を警告しており、オバマ米政権が「OFAC規制」を発動し、ロシアの国家及び金融機関の資産凍結を強行した場合、ロシアも米国債の売却警告しており予断を許せない状況が続く。
【本邦機関投資家の外貨建て資産投資】
6月からのGPIFによる外貨建て資産への投資増額観測が高まっていることで、本邦機関投資家による新規の外貨建て資産への投資増額が期待されている。
5月12日-16日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。