国内

政府は「集団的自衛権はすでに行使されている」を隠し続け中

 北朝鮮が韓国を攻撃し、米国が韓国を助ける状況になったとき、日本はどうするか。この問題に関連して、産経新聞が3月18日(電子版)に興味深いニュースを報じた。日本政府関係者が韓国との協議で「日本は米国との事前協議で米軍が国内の基地を使うのを認めないかもしれない」と発言したというのだ。

 言うまでもなく、日韓関係は従軍慰安婦問題で冷えきっている。国民感情を考えると、韓国を無条件で支援するとは限らないぞ。そう聞いて、韓国側は「凍り付き言葉を失った」と報じている。この話は日本の集団的自衛権問題を考えるうえでも核心部分を突いている。

 まず前提になる事実関係をチェックしよう。日米安保条約はもちろん日本を守るのが使命だが、同時に「極東の平和と安全」に寄与する役割も担っている。つまり朝鮮半島有事への備えだ。

 1960年に条約が調印されたとき、日米両国は「米国が韓国防衛のために日本の基地を自由に使える」という密約を結んでいた。この密約は民主党政権時代に大問題になったが、外務省の調査では1969年に当時の佐藤栄作首相が日本は米軍の基地使用を「前向きに」検討する方針を表明したので事実上、失効したと結論付けている。つまり基地使用を容認した。

 以来、自民党政権はもちろん民主党政権でも米軍の基地使用を見直した形跡はない。それどころか、1999年には周辺事態法を作って有事には後方支援をする枠組みを決めている。だから、冒頭の発言が本当になったら大変だ。

 そんなことは百も承知のはずだから、発言者の意図は「韓国が反日姿勢を続けるなら、ひどいことになるぞ!」と一発かましたのだろう。

 それはともかく、ここで注目したいのは、1960年当時から日本は韓国防衛に出撃する米軍への地提供を事実上、約束していた事実である。それこそ、集団的自衛権の行使容認ではないか。

 北朝鮮が韓国だけでなく日本も攻撃する意図が明白なら、個別的自衛権の発動でもOKだろう。だが韓国の救援に出動する米軍が日本の基地で武器弾薬を補給するのを認めるのは、集団的自衛権の行使でないと説明できない。仲間を助ける行為だからだ。

関連記事

トピックス

17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
本誌『週刊ポスト』の高利貸しトラブルの報道を受けて取材に応じる中条きよし氏(右)と藤田文武・維新幹事長(時事通信フォト)
高利貸し疑惑の中条きよし・参議院議員“うその上塗り”の数々 擁立した日本維新の会の“我関せず”の姿勢は許されない
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
高橋一生と飯豊まりえ
《17歳差ゴールイン》高橋一生、飯豊まりえが結婚 「結婚願望ない」説を乗り越えた“特別な関係”
NEWSポストセブン
西城秀樹さんの長男・木本慎之介がデビュー
《西城秀樹さん七回忌》長男・木本慎之介が歌手デビューに向けて本格始動 朝倉未来の芸能事務所に所属、公式YouTubeもスタート
女性セブン
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田首相の脱法パーティー追撃スクープほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田首相の脱法パーティー追撃スクープほか
NEWSポストセブン