タッチパネル式のゲーム「私たちの国土の守護者 独島はわが領土だ」もひどい内容で、内蔵マイクの前で手を叩くと、竹島の周辺海域にいる日の丸入りの陣笠をかぶった日本人を、蚊を潰すように駆逐できる。
いかに多くの日本人を叩き潰すかでランクが決まり、“功績”が大きいと内蔵カメラで自分の顔をモニターに当てはめて「将軍」気分になれるという仕組みだ。
展示の締めくくりには、朴槿恵大統領の父・朴正熙元大統領が1967年の在任時に筆を執った「国土守護 其功不滅」の揮毫が飾ってあった。「安龍福が独島と鬱陵島を守った史実は『国土守護』に当たる」とし、功績は永遠に不滅だと評価したと説明書きにはある。
安が不法入国者だった(*注2)という「史実」はどこにもなく、「不滅の功績」は子の代に受け継がれる──。
結局、はるばる訪れた安龍福記念館に日本側を驚かせるような目新しい史料はなく、韓国側が繰り返してきた歴史の創作と誇張を都合よく解釈する史料が置いてあるだけだった。そのほとんどが複製品というお粗末ぶりは、日本に「歴史認識を問う」以前の、韓国社会の問題点を象徴していた。
【*注1】伊藤博文を暗殺した安重根に次ぐ“抗日英雄”。江戸幕府に竹島を韓国領と認めさせたと伝えられている。
【※注2】江戸幕府は1661(寛文元)年より、米子(鳥取県米子市)にいた町人グループに竹島での漁業や中継地としての利用を許可していた。1693(元禄6)年、前年から鬱陵島に姿を見せていた朝鮮人が増加していたことから、鬱陵島を日本領だと考えていた町人らは彼らを“不法侵入”と見なし、日本語が話せる朝鮮人と漁夫の2人を鳥取藩に連行。この日本語ができる朝鮮人が、安龍福だった。
※週刊ポスト2014年5月23日号