オキシトシンは、自分の赤ちゃんにおっぱいをあげているときにお母さんの脳内に分泌されていることが分かっている。乳汁の分泌、子宮の収縮をさせる働きがあり、女性が出産のつらさを乗り越えられるのは、このオキシトシンのおかげだといわれる。
こう書くと、若い女性にしかないのかと思われがちなのだが、閉経したおばさん、そして男たちにも分泌されていることが明らかになってきた。
また最近になって、オキシトシンは病気の感染を予防し、痛みを緩和したり、生きる力の源になるというデータも出てきた。
オキシトシンは人を幸せにするホルモンともいわれる。同時に思いやりホルモン、抱擁ホルモンとも呼ばれる。
相手の身になったとき、肌と肌が触れ合うときに分泌されるからだ。パートナーがいる人といない人とでは、いる人のほうが長生きするというデータがあるが、これもオキシトシンの影響だと思う。
夫婦関係がギスギスしていて、セックスレスになっている夫婦は、血圧が上がり、免疫力が低下することが分かっている。夫婦が互いを思いやることもなく、肌も触れ合わなければ、オキシトシンが出ないから当然である。むろん、病気にも罹りやすくなる。
そういうときの解決策としておすすめなのは、ペットを飼うことである。ペットをなでるだけでもオキシトシンは分泌される。これまでに被災地に何度も行っている僕は、ペットを飼い、ペットをなでることでストレスが軽減されているのではないかという光景を幾度も見てきている。
他人を思いやって、他人を幸せにしながら、回り回って自分の脳内にオキシトシンを分泌し、自分が健康になれるのだ。
※週刊ポスト2014年6月6日号