反中暴動のさなか、折しも米国を訪問中だった中国軍の房峰輝・総参謀長は米軍制服組トップであるデンプシー統合参謀本部議長と会談。米側が中越艦船衝突の直接の原因となった中国側の石油採掘について、「地域の平和と安定を損なう挑発的な行為は慎むべきだ」と批判すると、房氏は「中国の領海内での行動であり、何ら批判される理由はない」と激しく反発した。
米太平洋軍第7艦隊司令部は、米軍は南シナ海の事態に強い関心を持って見守っており、「毎日、偵察機で情勢を把握しているほか、揚陸指揮艦ブルー・リッジと駆逐艦が南シナ海を航行している」としている。
今後、中国軍がどのような動きを見せるかは未知数だが、常国防相や房総参謀長の発言からも分かるように、妥協する姿勢は見えず、最終的な判断は軍を統率する習近平・国家主席が下すことになる。習氏が軍トップに就任してまだ1年あまり。軍権を掌握しているとは言い難いだけに、ここで強硬姿勢を見せて軍に自らのリーダーシップを誇示したいと考える可能性もある。
その際、米軍がどのように行動するか。“尖閣有事”を占う大きな試金石になるのは間違いない。
■翻訳・構成 相馬勝(ジャーナリスト)
※SAPIO2014年7月号