咳の症状を訴えて病院を訪れる人が増えているという。国立病院機構相模原病院臨床研究センター・センター長の谷口正実さんは、こう語る。
「病院に足を運ぶ人の症状の3割は『咳』です。そして、その咳がなかなか治まらず長引くケースが世界的にみても増加傾向にあります。医学的には、8週間以上続く咳が『長引く咳』と定義されています。しかし、一般的な風邪やインフルエンザによる咳は、約3週間程度で徐々に軽くなり治ります。ですから、3週間以上、咳が続く場合には、まず、かかりつけの医師に相談することが大切です」
きちんと原因を調べて適切な処置をとらないと根本的治癒にはならないと警告する。 コンコンという乾いた咳、ゴホンゴホンと痰をともなった湿った咳など、咳にも種類があり、その原因はさまざまだ。
「近年、8週間以上の咳で増加傾向にあるのが、胃の内容物が逆流して頑固な咳を引き起こす胃食道逆流症(GERD)、百日咳、マイコプラズマなどの感染症によるもの、アレルギー体質の人に多くなる『アトピー咳(アレルギー性の咳)』です。特に今の季節に多いのがイネ科の花粉アレルギーです」(谷口さん)
痰の色や咳の出る時間帯などで、ある程度まで咳の種類を推定することができるというが、専門の医師でも長引く咳の原因をズバリ診断するのは難しいという。
「何年間も咳に苦しんで治療を続けていたのに、実はマイコプラズマで、薬を変えたら2、3日で治ったということもあるんです。アレルギーによる咳の場合も、その原因がイネ科の花粉症であることはあまり知られていません。昨年の今頃はどうだったのか、家の周辺に空き地や田んぼがあるなど、生活環境も考慮しなければならず診断が難しいのです。処方薬をのんで2週間以上改善されないようであれば、セカンドオピニオンとして別の医師に相談するか、呼吸器系の専門医を紹介してもらうのがいいでしょう」(谷口さん)
※女性セブン2014年7月17日号