なぜ200万円なのか。費用算定のモデルとされているのは、アメリカと北朝鮮の間で取り決めた米国人兵士の遺骨返還費用だ。
米朝は1990年から合同調査チームによって朝鮮戦争で戦死した米軍兵士の遺骨捜索と収集を実施し、見つかった遺骨は板門店で引き渡され、空路、日本の横田基地に輸送されて「送還式」が行なわれてきた。
「アメリカは遺骨1柱あたり約2万ドル(約200万円)を北朝鮮に支払っている。これは散乱した遺骨の調査費用と掘り返し作業にかかった総経費を人数で割った平均金額。日本人の遺骨収集でも、まずはこの数字が基準になった」(同前)
北朝鮮にとって2万1600柱の遺骨返還ビジネスは、およそ400億円になる計算だ。もっとふっかけられる可能性もある。北朝鮮ではすでに遺骨はカネになるとみて、建設現場などで日本人らしい遺骨が発見されると、工事を中断して収集する活動を実施しているという。
「その際、工事中断による逸失利益などを合わせて1柱あたりの発掘経費が米兵の2倍の400万円かかるといっている」(拉致議連関係者)というのだ。1柱400万円なら、総費用は2万柱で800億円にハネ上がる。
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号