高校野球の大きな魅力といえば、弱小校による下克上や、強豪校のまさかの敗戦などの「大番狂わせ」。群馬県で起きた番狂わせを紹介しよう。
後に西武ライオンズのエースとなる前橋工の渡辺久信は、県内では「敵なし」の存在だった。1年の夏に甲子園出場、3年時には全国屈指の豪腕として名を轟かせていた。しかし3年夏(1983年)の予選決勝で涙をのむ。
ダークホース的存在だった太田工が左腕・青柳の好投で食い下がり、延長11回の末、渡辺の押し出し四球で前橋工がサヨナラ負けを喫した。太田工は甲子園で優勝候補の池田高校(徳島)に大敗。「もしも前橋工の渡辺がいたら……」と想像する群馬の高校野球ファンは今も多い。ちなみに太田工の夏の甲子園出場は現在までこの1度のみだ。
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号