英語・日本語の両方で解説した研ぎ方のマニュアルと包丁研ぎ教室の参加者に渡される修了証
外国人限定というわけではなく、定期的に実施している包丁研ぎ教室の人気は高く、初級コースはすぐ満員になってしまう。一般の参加希望者に加え、体験型アクティビティが好きな観光客のニーズにも応えるには、「週1回くらい開催できるのが理想」と語る鎌田さんだが、現状は人手が足りないために、実施回数が絞られているのが残念だ。
装飾加工が施された包丁や名入れ、英語での接客やパンフレット――外国人に向けた細やかなサービスに目を向けてしまうが、実は同店が高い支持を集めている本当の理由は、そうした目に見える部分だけではない。人種を問わず多くの人が同店を訪れるのは、国内でも屈指といわれる、“研ぎ”の技術力の高さが大きい。
プロの料理人が長年使用し、自身では手に負えないほど変形したり、刃こぼれを起こした包丁も新品のように再生する技術を持つ同店は、“プロも頼りにする、メンテナンスのプロ”としてリピーターになる客が多い。顧客の中には「こんな新品みたいに仕上げちゃったら、新しい包丁が売れないでしょ?」と冗談まじりに言う人もいるというが、鎌田さんは「良い道具をしっかり手入れして、使い続けられるようにするのは、究極のエコロジーですよ」と語る。