国際情報

サムスン経営者の復帰なければ韓国は国家的な危機に直面も

 韓国・サムスングループが揺れている。5月10日夜、李健熙(イ・ゴンヒ)会長が急性心筋梗塞で緊急入院した。現在は昏睡状態から意識を回復したとされるが、本稿執筆時点では、まだ意思疎通などはできない状態だという。日の丸家電を駆逐してきたサムスン帝国「最大の危機」だと大前研一氏は指摘する。

 * * *
 韓国では大統領より「偉い」とも言われる李氏が、もしこのまま復帰できなければどうなるか。サムスンはもとより、韓国そのものが国家的な危機に直面することになるだろう。

 韓国のGDPの4分の1を占めると形容される巨大財閥サムスンは(実際は国民の付加価値の総和であるGDPと売り上げや時価総額を比較することは意味がない)、グループ内の企業が直接的・間接的に株式を持ち合っており、その歪な“循環支配”の構造は、まるで半導体の回路設計図のように複雑だ。

 実質的な持ち株会社の役割を果たしているサムスンエバーランドはテーマパークの運営とファッション事業の会社にすぎず、時価総額のほとんどはグループ内で唯一の上場企業のサムスン電子である。

 来年にかけてサムスンエバーランドとIT関連企業のサムスンSDSも上場すると発表しているが、これは李健熙氏の長男でサムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)氏、長女でホテル新羅社長の李富真(イ・ブジン)氏、次女でサムスンエバーランドのファッション事業担当社長の李敍顯(イ・ソヒョン)氏に経営権を継承するため、あるいは肝心のサムスン電子の株を買い増すためだろう。
 
 しかし、それがうまくいくとは思えない。理由はまず、今の持ち合い構造では株主権が定まらないので、これら関連企業を重複上場することは普通の取引所では認められないからだ。より本質的な問題は、カリスマ経営者が長く独裁支配してきた会社は、その人がいなくなったら“企業版アラブの春”が起きる可能性が高く、統治していくことが極めて難しくなることだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン