投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の8月4日~8月8日の動きを振り返りつつ、8月11日~8月15日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は大幅な下落。週末には節目の15000円をあっさり割り込み、6月2日以来の14800円を割り込んでいる。8月に入り調整が続く中、週前半には支持線として意識されていた25日線を割り込むと、その後も米株安の流れを受けて戻り売り圧力の強い相場展開となった。
指数インパクトの大きいソフトバンク<9984>は、米スプリントがTモバイルUSに対する買収交渉を打ち切ったことを契機に急落。活発だった個人投資家についても、ミクシィ<2121>の急落などを背景に、センチメントが悪化した。それでも、7日には“GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)日本株運用比率、20%超で調整”との一部報道を契機に日経平均は6営業日ぶりに反発。政府によるリップサービスで動意付いた格好だったが、株価を重要視しているアベノミクスでは、下げさせない、といった見方にも。
しかし、週末には地政学リスクの高まりを背景とした米株安や円高を受けて一段安に。売り一巡後はGPIFへの思惑から下げ渋りもみられたが、オバマ米大統領は、イラクでイスラム過激派により山頂に追い詰められている宗教的少数派住民4万人の支援に向け、イラクへの限定的な空爆を承認。この声明報道を材料に売り仕掛け的な流れが強まり、日経平均は一気に14800円を割り込む急落となった。
日経平均は一目均衡表の雲上限での底堅さを見極める展開が意識されていたが、まさかの雲下限での攻防になった。週足では13週線のほか26週線、雲上限を割り込むなど、一気にトレンドが悪化してしまった。引き続き決算発表が続くほか、今週はお盆休みとなるなか、リバウンドは期待しづらいところであろう。これまでの個人主体の活発な取引によって中小型株や材料株でのサマーラリー相場も期待されていただけに、週末の急落によって、損失覚悟の売りに伴う需給悪化が警戒されてくる。
今週は商いが膨らみづらいなか、先物市場での売買に振らされやすくなりそうである。地政学リスクへの警戒から模様眺めムードも高まりやすく、好決算企業などへの短期的な値幅取り狙いが中心になりそうだ。
そのほか、ミクシィ<2121>、サイバーダイン<7779>など中小型の主力株の調整が強まっているが、いずれも25日線レベルまでの調整が完了している。同水準の攻防が続くなか、信用規制解除への思惑が高まりやすく、これらがリバウンドをみせてくるようだと、個人のセンチメントは改善に向かうことが期待されてくる。