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秋田・福井「学力テスト1位」もたらす持ち家率の効果と限界

 今年も上位の顔ぶれは変わらなかった。2014年の全国学力テスト結果によれば「国語A、B」「数学A、B」の4科目のうち、小学6年生はすべて秋田が1位。中学3年生も1科目で秋田がトップ、その他3科目は福井が1位だった。2007年のテスト開始以来、両県はいつもトップ争いを続けている。
 
 秋田や福井の成績がいい理由として「少人数学級」「探求型の授業」などが指摘されることが多い。が、その手法は今や様々な自治体が真似している。なぜ首位は動かないのか。
 
 教育関係者の間で「顕著な連関が見られる」といわれるのが持ち家比率だ。
 
 全国平均は62%。それに対し1位は富山80%、2位秋田78%。以下、山形と福井77%と続く。このうち山形こそ学力テストの結果は全体で17位と「中の上」だが、富山は小学生3科目、中学生全科目で上位5位以内にランクインしている。
 
 ちなみに三世代世帯の割合も秋田16%、福井17%と全国平均(7%)より圧倒的に高い。秋田大学教育文化学部の阿部昇教授が語る。
 
「秋田の強みは学校や地域との連携を大事にしながら学力向上に取り組んでいることです。PTAや自治会にアプローチして、地域のつながり作りに力を注いでいるケースもあります」
 
 父母だけでなく祖父母、地域の人々が小中学生の勉強をサポートする環境が成績向上につながっているようだ。
 
 ということは、移住して秋田の学校に行ったからといって簡単に成績が上がるわけではないことがわかる。大学進学率は福井16位、秋田37位と小中学生の学力がそのまま活かされているともいえない。所得格差なども背景にあるとされる。
 
「学力テスト対策」はできる可能性があるが、それだけでは教育問題は解決できないことも間違いない。
 
※週刊ポスト2014年9月12日号

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