定年をむかえ、自宅にいる時間が増えた団塊世代の夫たちは、すすんで家事を担当しようとする。彼らの妻の多くは夫に必要以上に厳しくダメ出しをする「家事ハラ」をした経験は若い世代より少ない。とはいえ、中高年妻が不満を持っていないわけではない。
「『洗い物があるぞ』『今日はゴミの日じゃなかったか?』の指摘までは許してきました。でも60歳で定年退職してから、ずっと家にいるのにこの調子で最近はイライラが募ります。
この前窓拭きをしていたら『汚かったことにやっと気づいたか』と平気な顔して言ってくる。『だったらあなたがやってよ』と怒鳴りそうになってしまいました。それから夫のやる事なす事が気になるようになってしまって……」
そう話す62歳のAさん(パート)の夫は、「自分のことは自分でする」のを自慢にしているが、Aさんは我慢の限界だという。
「夫がやっている“家事”は、朝食のトーストの準備と自分の食器を流しに運んで洗うことだけです。でも夫がトーストを焼いてバターを塗ると、パンくずがついたままのバターナイフをバターケースに戻すし、そのバターを冷蔵庫に戻さずにテーブルに放置するから溶けてドロドロになる。それでいて自分は後片付けをしているつもりなので、一度気づくまでそのままにしておいたら『おい、片付け忘れてるぞ』と偉そうに言ってくる。
思わず『こんなこともしないで、家事をやっているつもりなの?』と言いそうになりました。それって家事ハラになるんですか?」
少しの家事をしただけでこれみよがしにアピールしてくる夫に不満を抱えている妻も多いようだ。
「たまに自分が掃除すると、『どうだ? キレイになっただろう?』といちいち私に言ってくる。やってくれれば嬉しいし、どんなに雑でも褒めています。褒めれば上機嫌でなんでもやるんですから。でも私が忙しくしている時に『やっぱりキレイにすると違うな』としつこく言われると、さすがに煩わしくなる。私はあなたの母親じゃないのよ、と言いたいのを堪えています」(58歳・パート)
※週刊ポスト2014年10月3日号