ビジネス

世界トップランクの欧州年金ファンド 日本株比率引き上げへ

 外国人投資家にアベノミクス再評価の機運が生まれ、日本株への注目が高まっているという。特に欧州系の年金ファンドの動きが顕著だと指摘するのはパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表取締役の宮島秀直氏だ。宮島氏が解説する。

 * * *
 アベノミクス再評価や上場企業の株主還元積極化、そして、世界最大の公的年金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用スタンスの改革などを受け、日本株のウェートを引き上げる外国人投資家が新たに登場している。デンマーク、オランダ、ノルウェー、ベルギーといった国々の公的年金だ。

 こうした欧州系の年金は、日本の金融市場では知名度は低いものの、実は、運用額および運用手腕において、世界有数の実績を有している。

 まず、ノルウェー最大の年金ファンドであるGPFGの運用額は約71兆円で、公的年金としては世界第2位(2012年のランキング。以下同)。オランダのABPは約37兆円で世界第3位、同じくオランダのPFZWは約18兆円で11位。デンマークのATPは約13兆円で第18位となっている。
 
 さらに、運用利回りをみると驚くような数字が並んでいる。ノルウェーのGPFG、オランダのABP、デンマークのATPの2010年から2013年までのリターンは、ファンド間、年によってバラつきがあるが、10~30%といずれも高い利回りを記録している。つまり、こうした北欧系の年金ファンドは、運用巧者で、世界の公的年金への影響力が大きいのである。
 
 特に、デンマーク、オランダの年金に対する評価は高い。国際的なコンサルティング会社であるマーサーグローバルが、運用利回りや運用の持続性・健全性を考慮して算出している『世界年金総合評価指数ランキング』では、デンマークが1位、オランダが2位となっている(ちなみに日本は中国より下の17位)。

 こうした世界トップクラスの年金ファンドが日本株に注目しているのだが、その背景には、日本企業の株主還元重視への転換の他に、世界的な金融市場の低金利とボラティリティの低下を受けて、運用利回りの低下が続いていることが挙げられる。

 特に、デンマークのATPは、運用利回りの低下を食い止めるために、ポートフォリオに占める株式の割合をドラスティックに引き上げようとしているのだ。すでに、昨年10月から株式の運用比率引き上げに動いており、その一部の資金がこれまで大幅にアンダーウェートにしていた日本株に流入しているのである。

※マネーポスト2014年秋号

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン