ライフ

国宝・松本城 外観上は5階建てだが実際には6階建ての構造

松本城の大天守は5階建て?6階建て?

 日本の主要名城が150ある中で、国宝に指定されているのはわずか4城のみ。その中のひとつが、松本城だ。

 明治時代、重い税負担に対して藩に抗議して磔にされた百姓・加助の怨念で松本城の大天守が傾いたという逸話があった。だが実は、松本城の大天守は江戸時代から傾き始めていた。傾きの原因がようやく究明されたのは昭和のこと。大天守の重量を地面に均等に伝えるように石垣内に埋められていた土台支持柱の腐食が原因だった。1950年からの「昭和の大修理」で修繕されて土台は安定した。

 大天守は戦国時代末期の1593~1594年、石川数正・康長親子が創建。築城に関する資料は乏しく、いまなお不明点が残る。その一つ、非公開部分である大天守1階の床には「謎の穴」がある。松本城管理事務所研究専門員の南山孝氏はこう話す。

「文化年間に天守に入った武士が、1階に爐(囲炉裏)があったという記述を残しています。そこで穴の底を調べましたが、火を使った形跡はなし。城外に繋がる抜け道だったのではないかという説も調査で否定されました。皆さんにご覧いただける3~4階部の吹き抜けについても用途が不明のままです」

 その吹き抜けがある3階部は、外からは存在がわからない「隠し階」になっている。

「隠し階は非常時に兵が集まる場所とされ、外から見て部屋があると予想できない屋根部分に造られました。外観上は5階建てに見えますが、実際には6階建ての構造なんですよ」(南山氏)

【松本城】
●天守創建者:石川数正・康長
●天守創建年:文禄2~3年(1593~94)頃
●形式・構造:平城、連結複合式5重6階

撮影■太田真三

※週刊ポスト2014年10月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
「一体何があったんだ…」米倉涼子、相次ぐイベント出演“ドタキャン”に業界関係者が困惑
NEWSポストセブン
“CS不要論”を一蹴した藤川球児監督だが…
【クライマックスシリーズは必要か?】阪神・藤川球児監督は「絶対にやったほうがいい」と自信満々でもレジェンドOBが危惧する不安要素「短期決戦はわからへんよ」
週刊ポスト
「LUNA SEA」のドラマー・真矢、妻の元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《大腸がんと脳腫瘍公表》「痩せた…」「顔認証でスマホを開くのも大変みたい」LUNA SEA真矢の実兄が明かした“病状”と元モー娘。妻・石黒彩からの“気丈な言葉”
NEWSポストセブン
世界陸上を観戦する佳子さまと悠仁さま(2025年9月、撮影/JMPA)
《おふたりでの公務は6年ぶり》佳子さまと悠仁さまが世界陸上をご観戦、走り高跳びや400m競走に大興奮 手拍子でエールを送られる場面も 
女性セブン
起死回生の一手となるか(市川猿之助。写真/共同通信社)
「骨董品コレクションも売りに出し…」収入が断たれ苦境が続く市川猿之助、起死回生の一手となりうる「新作歌舞伎」構想 自宅で脚本執筆中か
週刊ポスト
インタビュー時の町さんとアップデート前の町さん(右は本人提供)
《“整形告白”でXが炎上》「お金ないなら垢抜け無理!」ミス日本大学法学部2024グランプリ獲得の女子大生が明かした投稿の意図
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン