ビジネス

タワーマンション節税にもリスク 相続前後の売買で追徴例も

タワーマンションは相続税の節税目的でも人気

 地価の上昇傾向や2020年の東京オリンピック需要などを見越して、都心部の高級タワーマンションが売れているというが、それ以外に販売好調のきっかけとなっているのが、来年の相続税引き上げを控えた“節税目的”だ。

「高層階の広い部屋でも相続税はさほどかかりませんので、節税効果はバツグンですよ!」

 こんなアピール合戦を繰り広げる販売業者も増えている。実際、タワーマンションの節税メリットはどの程度あるのか。税理士の落合孝裕氏に聞いてみた。

「マンションの相続税の評価方法は、土地と建物それぞれ全体の評価をして、占有部分の持ち分を掛けて計算します。

 例えば、東京都港区にある<地上40階建て/500戸の部屋数/5000平方メートルの敷地>のタワーマンションでは、1戸あたりの土地の持ち分は<5000平方メートル÷500戸=10平方メートル>になります。

 ここに路線価(1平方メートルあたり100万円想定)を掛けた1000万~2000万円が土地の評価額。さらに、固定資産税の評価額と同額の建物部分を足すと、相続税評価額は1戸あたり2000万~6000万円程度となります。

 一番のポイントは、相続税の評価額は同じ床面積であれば2階でも40階でも同じということ。当然ながら販売価格は上層階にいけばいくほど高くなるので、その分、節税効果は高くなります。3億円のマンションの評価額が6000万円程度と20%くらいに落ちることはよくあります」

 しかし、あからさまに節税狙いのマンション売買をすれば、税務署に睨まれるケースもある。落合氏が続ける。

「過去には国税不服審判所などで揉めて納税者が負けた事例がいくつかあります。例えば、父親が亡くなる1か月前に父名義で2億9300万円のタワーマンションを購入した人が、相続登記を完了させ、5802万円のマンション評価額に基づいて相続税を申告。その後1年もしないうちに、ほぼ買った価格の2億8000万円で売却しました。

 これは、さすがに国税も“お目こぼし”するわけにはいかぬと、取得価格と同額の2億9300万円の評価額で追徴課税をする裁決が下されました」

関連キーワード

トピックス

「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
グラドルデビューした渡部ほのさん
【瀬戸環奈と同じサイズ】新人グラドル・渡部ほのが明かすデビュー秘話「承認欲求が強すぎて皆に見られたい」「超英才教育を受けるも音大3か月で中退」
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
無名の新人候補ながら、東京選挙区で当選を果たしたさや氏(写真撮影:小川裕夫)
参政党、躍進の原動力は「日本人ファースト」だけじゃなかった 都知事選の石丸旋風と”無名”から当選果たしたさや氏の共通点
NEWSポストセブン
セ界を独走する藤川阪神だが…
《セの貯金は独占状態》藤川阪神「セ独走」でも“日本一”はまだ楽観できない 江本孟紀氏、藤田平氏、広澤克実氏の大物OBが指摘する不安要素
週刊ポスト
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン