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朱鎔基元首相息子 金融会社CEO辞任しネットバンクに転身へ

 1990年代から2000年代初めにかけて、中国の副首相や首相として、金融改革や膨大な国家債務の解消、腐敗撲滅などに辣腕を振るった朱鎔基氏の長男、朱雲来氏がこの10月下旬、16年以上もトップを務めていた中国国際金融有限公司の最高経営責任者(CEO)を辞職し、インターネットバンキングの会社を創設することが分かった。

 中国ではネットバンキングはほとんど銀行が採り入れており、これから成長するビジネス分野とみられているだけに、雲来氏が親譲りの鋭い金融感覚を武器に「金融界の風雲児」として、駆け上がれるかどうか注目が集まっている。米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「多維新聞網」が報じた。

 雲来氏は1957年生まれで現在57歳。米ウィスコンシン大学で気象学を学んだ変わり種だが、「中国では気象学で食べていくのは至難の業だ」との鎔基氏のアドバイスもあり、その後、実業界入りするために、経済学で有名な米シカゴのデュポール大学の大学院に入り、会計学の修士課程を修了。その後、世界的な規模を誇るクレディ・スミス銀行に入社し、国際金融業務に携わった。

 1995年、中国建設銀行と大手証券会社であるモルガン・スタンレー証券の共同出資による中国国際金融有限公司が創設されると、翌年、同社に入り、香港支店の上席取締役に就任。

 中国では昨年来、同公司が香港で新規株式公開(IPO)を目指しているとの観測が報じられていたが、市場関係者らは「雲来氏の辞任でIPOは延期される」との見方を示しているという。

 気になるのは雲来氏の新たな事業だが、多維新聞網は「インターネットバンキングに進出し、近く新たな会社を興す予定」と報じている。

 中国でも外為銀行の中国銀行をはじめ、工商銀行、交通銀行など、ほとんどの銀行がネットバンキングのサービスに力を入れており、最近は中国の電子商取引最大手アリババも参画し、すでに1億人近い顧客を獲得している。中国の大手リサーチ会社によると、中国のネットバンキング市場の取引額は昨年、1000兆元(約17兆6000億円)を超しており、個人取引を中心に右肩上がりで増加している。

 これまでは、アリババなどの民間企業主導で市場が拡大してきたが、中央銀行の中国人民銀行総裁の周小川氏も最近、中国政府も新たな金融市場として重要視、規制を緩和の方針を示唆しており、元首相で、金融関係者に強い影響力をもつ鎔基氏の血筋を引く雲来氏の動向がかなり注目されている。

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