国内

先生ではない人が教室で子どもを注意 介助員つき授業が急増

 都内区立小学校の学校公開日。小学2年生の娘を持つ母親は、わが目を疑った。教室には担任の他に、保健室の先生(養護教諭)、そして見たことのない男性が授業を見ていた。あの学生風の男性は誰? 見ていると、授業に集中しない子を注意したり、生徒が解いた問題の丸付けをしている。先生じゃない人が監視? 日によってその人はミニスカートの女性に変わり、担任と2人で授業が行なわれる日も。

 その人たちは、「学習指導補助員」「介助員」などと様々な名称で呼ばれていたが、平成19年に「特別支援教育支援員」(以下、支援員)と一応、名前を整理。現在は約530億円(平成26年)の地方財政措置がなされている。

 身体的な障害や発達障害のある児童生徒へのサポートが仕事だが、文科省によれば支援員の活用方法は各自治体に任されており、自治体に確認すると、「各学校に任せている」とのこと。時給(謝礼)は関西のある地域では800円台、都内では1300円という自治体も。立場は「有償ボランティア」とする自治体も多い。

 応募要件に教員免許を課す所もあるが、東京のある区の募集に問い合わせた主婦によると、「問題の生徒一人に付くのかクラス全体を見るのか、通常の学級か、特別支援学級に入るかも学校次第。特に免許はいらないが、児童の突発的な行動に対応できる(運動能力がある)ほうが良いと説明されました」という。

 登録だけなら履歴書を郵送するのみ。また、別の区の介助員(障害のある子の生活面での補助)の募集では「学校を出ていればいいか」と質問したが、「特別に要求していることはありません」と返されたという。

 教育ジャーナリストの品川裕香さんは言う。

「学校全体で情報を共有しつつ戦略的に配置すれば、支援員は確実に効果的に指導を支え、子どものメリットになります。欧米でもティーチングアシスタントは一般的。ただし、単なるお世話係になってしまうとデメリットになる可能性も。まずは行政が支援員研修をしっかり行なう。そのうえで学校側は支援員配置の目的を明確にして活用し、指導効果の向上を図るべきでしょう」

 ただ予算をつけて漫然と人を増やすのは簡単だが逆効果。自治体と学校が支援員を活かすスキルを磨く必要がある。

※SAPIO2014年12月号

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