気軽に入れるチェーン店の居酒屋と違って、どこか入りにくい雰囲気をもっているのが、バーだ。常連じゃないとダメなんじゃないか? マスターと会話をしなくてはならないんじゃないか? そう思う人も多いかもしれないが、実はそうでもないという。
「バーは、敷居が高いイメージがあるようですが、実は、自分の時間がゆっくり楽しめる、くつろぎの場所。女性のひとり飲みにはピッタリなんですよ」とは、バーテンダー歴14年の富田晶子さん(34才)。女性ならではのバーでの楽しみ方を聞いた。
「扉を開けた瞬間から、バーテンダーに身を任せてください。バーテンダーが、そのお客様にとって居心地の良い空間を作って“おもてなし”をしてくれます。誰かと話がしたい時、放っておいてほしい時、すべて見極めて対応してくれるはずです」
酒の種類がわからないと、注文も緊張するものだが…。
「単に『甘いもの』『すっぱいもの』といった注文の仕方で充分。バーテンダーは、お客様のイメージでカクテルを作るので、『お任せ』も楽しいですよ」
カクテルは、たとえ同じレシピでも、作り手によって味が変わる上、客に合わせて、分量を微調整するという。つまり、客の数だけカクテルがあるといっていい。そんな職人技が楽しめるのもバーの醍醐味だ。
「私がハマっているのが、フレッシュフルーツを使ったフルーツカクテル。以前、すごく落ち込んでいた時にフルーツカクテルをいただき、あまりのおいしさに悩みが吹き飛んだんです(笑い)。カクテル1杯で、気持ちが晴れ、人生まで変わることもあるんですよね」
最近は、ノンアルコールカクテルも増えているという。
「ただし、凝ったカクテルには1杯1200円程するものも。1杯1杯を一期一会と思って、ゆっくりと贅沢な時間を楽しんでもらいたいですね」
また、バーでの楽しみのひとつにフレアバーテンディングというショーがあることをご存じだろうか。バーテンダーがボトルやシェーカーなどを使った曲芸的なパフォーマンスを行い、カクテルを提供する。1980年代にトム・クルーズ主演の映画『カクテル』で話題になった。
「バーテンダーは、お客様を楽しませたい人たちばかり。カクテル作りもショーもそのひとつです。お姫様気分を味わいたい夜にはぜひ、扉を開けてみてください」
※女性セブン2014年12月18日号