検索サービスやグルメサイト、まとめサイトなどの登場で、“飲食店の選び方”は、ずいぶん変わってきた。ブログやSNSでプロ並みの食べ歩きレポートを公開する人も多いほか、最近ではキュレーションメディアでまとめられることなどより話題がさらに話題を呼び、
“一億総グルメ評論家”の様相も呈してきている。
このような時代、飲食店の下調べをするのは当たり前。場所や営業時間といった情報はもちろん、口コミやメニューなど、実際に行く前にさまざまな情報を仕入れられる。ただ、“地雷”を踏まないというメリットの裏で、“自分の目を鍛える”力は減っていくのではないか……。
かくいう記者も、誰かと飲食することがわかっている場合、事前にほぼ100%、ネットで調べている。ネット上に情報があがっていると、相手にも場所や連絡先などを伝えやすいというメリットもある。公開されているメニューの写真を見ては、「これを食べに行こう」と具体的な想像もふくらませられるというものだ。だが、情報が多くなればなるほどグルメサイトなどでの飲食店の評価は割れがちで、迷うことも多くなった。そんななか、ヤフーでは「Yahoo!ロコ」において飲食店の“話題度”検索サービスを展開。ネット時代の飲食店選びについて、Yahoo!ロコ サービスマネージャーの津森 暁史(つもり・あきし)氏に話を伺った。
――高い評価をつける人が多く、期待を高めていっても、がっかりするケースや、その逆もあります。
津森:多くの人が飲食店選びで参考にするサイトには、大きく「美味しかったよ」という「レビュー」ものと、クーポンなどの「お得」ものがあります。
一方で、行った人たちの感想ではなくて、テレビや雑誌など、「この店が美味しいですよ」と紹介するメディアがあります。Yahoo! では、テレビで飲食店が紹介されると、放送の最中や直後に、その飲食店関係の検索数が伸びたりします。それを踏まえ、Yahoo!ロコでは、“皆が興味をもっている飲食店”のランキングを公開開始しています。「美味しかったかどうか」「お得かどうか」という飲食店選びの軸に、新しく「興味」の軸もあっていいのでは、というわけです。
――グルメサイトは「使い分ける」段階にきている?
津森:そうですね。例えば、最初に“どこに行こうかな”と思っているときは食べログ、具体的にお店が決まれば、「ぐるなび」などでクーポンがあるかどうかなどを検索する人が多いのではないでしょうか。そこに、これまでなかったものが「興味の順番」でした。
グルメに限らず、人が興味を持っているもの、話題にしているものは、気になるものです。ヤフーでは、検索数でランキング化することにより、“皆が何を話題にしているか”を可視化することができるようになりました。また、Yahoo!ロコのグルメサイトでは、話題になっている飲食店の食べログやぐるなびクーポンなどの情報へのアクセスもスムーズにしています。
――行くかどうかはともかく、情報として知っておくと、コミュニケーションの幅も広がりそうです。検索では、地域、予算、ジャンルなどで条件を詳細設定し、話題のスポットランキングを見ることが可能になっていますね。
津森:今後の展開として、もう少しニッチなものも可能にできれば面白いのではないかと思っています。例えば「新橋の30代の男性がちょっと飲みにいく時に人気」といったランキングにした場合など。同じ場所の同じグルメでも、属性別にすると違いがみえてくるのではないかと。
また、今後は“未来予測”なんかも可能になると思います。例えばパンケーキやポップコーンなども、実際に流行する前に、実は多数検索されています。ビッグデータを用いれば、“次に何が流行するか”を予測することもできるというわけです。
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実は下北沢でバーを経営するなど、異色の経歴をもつ津森氏。和食が世界遺産になり、2013 年には来日外国人が過去最高の 1036 万 4 千人となるなかで、目指すのは日本のグルメにおいて「2020年の東京オリンピックを迎えたとき、どれだけ海外のお客様に良い“出会い”を提供できるか」だと話す。
ネット時代の飲食店選びが難しいのは、さまざまな評価が“見えて”しまうことが原因の一つだが、そもそも食べ物や飲食店の嗜好は、人それぞれ。データを元にした単純な「話題度ランキング」は、飲食店選びをシンプルなものにしてくれるかもしれない。