「昨年末に、『牛すき鍋膳』という高価格帯商品を導入した吉野家さんが業績を伸ばしていることに注目しました。もはや低価格だからお客様が来るという時代ではないとの意見が社内にあることも事実です」(同社・広報担当)
だが転換は簡単ではない。外食ジャーナリストの中村芳平氏が語る。
「牛丼チェーンの『すき家』が吉野家に追随する形で高価格帯の『牛すき鍋定食』を販売したところオペレーションが煩雑になり、従業員1人で店内を切り盛りさせるワンオペ体制が崩壊する騒動が起きました。中華そば販売中止による人件費のコストアップは多くないにしても、メニューの書き換えなどの費用は決して小さくありません」
特に幸楽苑では全店舗に「中華そば」と大書した看板を掲げている。改装費用はどの程度になるのだろうか。
「仮に全店舗の看板を掛け替えることになれば約7億円かかります」(前出・広報担当)
幸楽苑の2014年3月期の営業利益は約9億円。看板を掛け替えるだけで利益の大半が吹っ飛んでしまう。
※週刊ポスト2014年12月19日号