日本の個人・法人の流動資産と固定資産は合計約3000兆円とされる。これに時価の1%を課税すれば、税収は約30兆円になる。企業が生産や営業のために持つ資産には課税しない。
また、今回の衆議院の解散・総選挙では消費税の引き上げ延期が争点なき争点になっているが、私は最終的な消費に対して課税する消費税ではなく、経済活動に伴って発生する付加価値(富の創出)に対し、すべての流通段階で一律に広く課税する付加価値税を導入すべきだと考えている。
つまり、1万円の木材を仕入れて本棚を作り、それを2万円で売れば、1万円の価値を創出したことになる。その場合、付加された価値=1万円に対して一定の税率で課税する。納税するのは消費者ではなく、価値を創出した法人や事業者だ。その税率を10%とすれば、国内で産み出される付加価値の総額≒GDPが約500兆円だから、税収は約50兆円になる。
以上のような資産税と付加価値税の合計は、約80兆円。国の一般会計予算が約100兆円だから、20%カットすれば所得税、法人税、相続税など他の税金はすべて廃止しても帳尻が合い、国債を発行する必要もなくなる計算だ。それが日本の国家財政の正しい均衡だと思うし、活力も出てくる。
※週刊ポスト2014年12月19日号