ビジネス

進化するイルミネーションで集客増 新技術と演出力で美競う

イルミネーションは冬の風物詩。有機EL照明など新技術が続々登場

 今年、東京・中目黒に出現した「青の洞窟」。世界遺産として名高いイタリア・カプリ島の名所「青の洞窟」をイメージしたこの幻想的なイルミネーションが11月23日から始まると、来訪者が殺到。混雑で安全確保が難しくなったと、土日祝日の点灯は中止された(開催は12月25日まで)。冬の街やテーマパークなどを彩るイルミネーションは年々進化を遂げている。人気イルミネーションは都市部のみならずいまや全国各地に誕生し、着実に集客力を高めている。

 1100万球超の世界最大級の輝きで人気を博す長崎のテーマパーク、ハウステンボスの「光の王国」。4年間で入場者数がほぼ4倍になったというハウステンボスの好調を支える、目玉イベントの一つだ。今年から、運河全体がライトアップされる世界初の運河イルミネーションショーも始まった。

「『光の王国』が始まった2010年から毎年、母と行っています。4年目ですが、毎年驚きがあるんです」と話すのは都内在住の40代女性。新しい取り組みがリピーター客を呼び込んでいる。

 近年、イルミネーションにおいて注目を集めているのが「プロジェクションマッピング」だ。プロジェクトマッピングとは建物や空間に映像を映し出す技術の総称を指す。東京駅丸の内駅舎での開催(2012年)や、今年行われた東京ディズニーランドのシンデレラ城でのショー「ワンス・アポン・ア・タイム」などで一躍その名が知られるところとなった。この冬も大阪城など、全国各地でプロジェクションマッピングを取り入れたイルミネーションを楽しむことができる。

 煌びやかなイルミネーションは、寒い時期の集客に一役買っているようだ。夜景評論家の丸々もとお氏はこう話す。

「たとえば、フジの花で有名なあしかがフラワーパーク(栃木県足利市)は、草花の停滞期の冬は集客が難しかったわけです。そこで大規模なイルミネーションを始め、昨年は前年に比べ入場者が12万人増加したといいます。屋外施設などは、もともと冬は人が来にくい。ゼロベースから初めていますから、集客できれば大きく売り上げアップにつながります。ただ、競争が激しくなってきていますから、イルミネーションの質がますます問われるようになってきています」

 イルミネーションの質を左右するのは大きく分けて「技術」と「演出力」だ。まず、注目すべき新技術を丸々氏は2つ挙げる。

「ノーベル賞の受賞もあってLED(発光ダイオード)が注目されていますが、イルミネーションの世界では10年前からすでにLEDは使用されているんですね。いま注目すべきは、一つは『水中照明』。水中で何万色もの表現が可能な照明で、ハウステンボスの運河で世界で初めて使われました。もう一つが『有機EL照明』です。ペラペラな紙のような照明で、LEDのような硬質な光ではなく、柔らかい色光を放ち、表現の幅を広げています」

 そしてこれら技術を最大限に活かすためには、演出力が重要になると語る。

「人々の目はどんどん肥えていっています。キラキラ光るだけ、あるいは派手なだけでは満足しません。中目黒にあれほどの人が殺到したのは、『青の洞窟』という、イメージの良いブランドを活かしたネーミングセンスや世界観を打ち出したからだと考えられます。何を表現したいのかというコンセプトや世界観と、しかるべき照明技術が融合してはじめて、観る者を惹きつけるエンターテインメントとしてのイルミネーションが出来上がるのです」

 古来より日本人は月見や夜桜を愛でるなど、夜に特別な美や価値を見出してきた。イルミネーションの進化によって、日本の夜はさらに豊かに輝きそうだ。

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン