国内

漆に魅せられた英国女性 「使ってもらえば絶対良さわかる」

 ドイツの建築家、ブルーノ・タウトが京都の桂離宮を訪れた際の第一声が「泣きたくなるほど美しい」だったことは有名だが、かように“和の神髄”について、外国人の目を通して教えられることは少なくない。

 輪島漆芸作家でイギリス人女性のスザーン・ロス氏は、日本の漆に魅せられた一人。伝統文化を絶やさぬよう、啓蒙活動にも積極的に取り組んでいる。

 * * *
 漆器は、手入れが大変、面倒くさい。そう思う人が多いのを非常に残念に思います。確かに、長期保管には気を使う必要がある。でもそれは、お正月にしか使わないから。生活の中に漆がないからなんです。

 当然、売れなければ漆の職人はどんどん減っていきます。研修所もあるし、漆芸を学ぶ学生もいるのですが、そのほとんどが女性。つまり、跡継ぎにならないんです。あと10年、20年で本当に途絶えてしまう。

 昨年、ハワイのイーストウェストセンターで漆の展示会が行われました。私もお手伝いして、いろんな先生方の作品や自分の作品を展示した。反響ありましたよ。

 そのあとホノルル美術館でワークショップを開いた。ニューヨークでは「日本の漆がなくなってしまう」という内容の講演もしました。今は日本の伝統文化を絶やさないために啓蒙、PRするのが私の仕事の一部になっています。

 日本の作家や関係者が何もしていないとは思わないけど、まだまだ危機感は希薄。外国人に向けたプレゼンテーションも上手じゃない。

 漆自体の魅力は多くの人がわかってくれるのだから、外国の生活様式に合ったものを提案すれば、絶対アピールできるはずです。外国人だって、若い人だって、使ってもらったら絶対良さがわかる。私、自信があるんですよ。

●取材・構成/大木信景(HEW)

※SAPIO2015年2月号

関連記事

トピックス

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン