ちなみにキャリア官僚の年収が1075万円に届くのは40歳前後の本省の室長・課長クラスだ。課長になると年収は約1200万~1300万円になる。
室長や課長になれば残業代はなくなるが、代わりに民間の管理職手当に相当する「特別調整額」手当が支給される。その手当は室長クラスが月額9万4000円、課長クラスは月額13万300円と手厚い上に、休日出勤すれば「管理職員特別勤務手当」(勤務1回につき上限1万8000円)がつく。
民間サラリーマンの場合、非組合員の管理職に出世すると残業代が支給されない代わりに管理職手当が支給されるが、残業代がなくなるマイナスのほうが大きく、手取り収入が大きく減ってしまうことはざらにある。「名ばかり管理職」が横行するのはそのためだ。
一方、公務員は俸給表で給料が決められており、出世して残業代が出なくなった後も決して給料が減ることはない。室長→課長の先も審議官(1598万円)→局長(1747万円)→次官(2295万円)と役職が上がっていくごとに残業代分以上に収入が増えていく給与体系になっている。
同じ労働基準法の仕組みが、民間サラリーマンに適用する場合は賃金カットの口実にされ、公務員には収入を手厚く守る理由に巧妙に使い分けられているのだ。
※週刊ポスト2015年2月6日号