こうした黒船襲来的なケースは、アイドルの世界以外でも少なくありません。今まで大事に育ててきた市場に大手が参入してきたときに、それをチャンスに変えるには、いかに大人の対応ができるかがポイントと言えるでしょう。
Negiccoといえばネギ。ネギといえばうどん。たとえば、近ごろ台頭が著しい伊勢うどんに大手の食品メーカーが目をつけて、カップ麺にして全国販売を始めるなんて可能性がないとは限りません。昔から地元限定で愛されてきた伊勢うどんと全国に影響力を持つ大手メーカー、まさにNegiccoとAKB48グループの関係とそっくりです。ケーススタディとして、Negiccoに学びつつ、そうなったときの伊勢うどん側の対応を考えてみましょう。
人気ラーメン店のカップ麺が出るときも同じ感じでしょうけど、元々のファンとしては「ふわふわもちもちの麺が命の伊勢うどんをカップ麺の乾麺で作れるわけないだろ! 伊勢うどんが誤解されるじゃないか!」というのが、たぶん正直な気持ち。しかし、露骨にカップ麺を敵視して悪口を言ってしまったら、カップ麺を通じて初めて伊勢うどんの存在を知った人が、伊勢うどんにマイナスのイメージを抱いてしまいます。
そこでニッコリ笑って「伊勢うどんを全国の方に手軽に味わってもらえて、とても嬉しいです。対決とかじゃなく、いっしょに伊勢うどんを盛り上げていけたらいいなと思います」ぐらいのことを言いたいところ。その上で「カップ麺の伊勢うどんもおいしいですが、本場で食べる伊勢うどんはまた格別ですから、ぜひ味わってみてください」と言えば、カップ麺の登場というピンチを利用して知名度やイメージをアップし、地元も潤うという大きなチャンスをつかむことができます。おお、まさに夢のような展開! じつは「伊勢うどん大使」でもある私としては、本当にそうなることを祈らずにはいられません。
それぞれの業界や業種に合わせて、あれこれシミュレーションしてみてください。先手必勝というか転ばぬ先の杖というか、あるいは、獲らぬ狸の皮算用というか……。