国内

任侠映画の乱造 社会にヤクザ礼賛の空気形成する援護射撃に

 昨年末、相次いで亡くなった高倉健と菅原文太は、「ヤクザ映画」の二大スターとして当時の若者に絶大な影響を与えた。一方、そうした映画はモデルとなるヤクザ側にとって、自分たちの存在感を高める絶好の舞台でもあった。フリーライターの鈴木智彦氏が、映画がヤクザのイメージに与えた影響についてリポートする。

 * * *
 ヤクザ映画は、暴力団の映し鏡だ。

 昭和30年代、実際の暴力団が高倉健の演じた侠気溢れる男伊達の集団だったというわけではない。ただ、スクリーンでドスを振るい、悪逆非道のくそヤクザを叩き斬る健さんは、紛れもなく理想のヤクザ像として存在していた。現実の任侠が権謀術数のヘドロ沼で、カタギの生き血を吸う吸血鬼であったにせよ、ヤクザの頭は任侠や侠客を確実に意識していた。

 実際、団塊の世代から上の現役暴力団幹部にインタビューすると「任侠映画に憧れた」と答える人はかなりいる。昭和38年、暴力団員総数は現在のおよそ3倍、18万4100人というピークを記録するが、若者たちが暴力団という職業を志向したのは、稼げる仕事だったことに加え、かっこいいヒーローと認識されていたからだろう。

 極限までヤクザを美化した任侠映画の乱造は、映画会社にすれば観客動員数が稼げるからだったに違いない。が、プロパガンダと呼ぶには大げさにせよ、社会にヤクザ礼賛の空気を形成する援護射撃にはなった。

※SAPIO2015年3月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る中居(2025年12月下旬)
《三歩下がって寄り添う高級ジーンズ美女》中居正広を今もダンサー恋人が支える事情「この人となら不幸になってもいい…」過去に明かしていた結婚観との一致
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《声の大きい人が勝つ国ではなく…》2026年、日本が目指すべき姿は?AIに聞いて“ハッとさせられた言葉”と意外な提言【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
新大関・安青錦
新大関・安青錦が語る2026年の抱負「いちばん上まで行きたい。期限にこだわりはないけれど目指さなければ意味がない」 
女性セブン
一般参賀にお姿を見せた上皇さまと美智子さま(時事通信フォト)
《新年を寿ぐホワイトドレス》「一般参賀に参加いただく必要があるのか?」美智子さま“お手振りなし異変”報道で波紋…上皇ご夫妻が行事に込める「内に秘められた心の部分」
NEWSポストセブン
元日本テレビアナウンサーの大神いずみ氏(右)と放送作家の山田美保子氏
《2026年の女性アナ事情》各局エース級が続々フリー転身 次世代を担うポスト田村真子、岩田絵里奈は誰か?【大神いずみ氏×山田美保子氏対談】
週刊ポスト
茨城県水戸市のアパートでネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された
《水戸市・31歳ネイリスト女性死亡》「『誰かのために働きたい』と…」「足が早くて活発な子」犯人逃走から6日間、地元に広がる悲しみの声
NEWSポストセブン
浅田真央と村上佳菜子の“断絶関係”に変化
《声をかけて寄り添って》浅田真央と村上佳菜子の“断絶関係”に変化 沈黙から一転、見られていた「雪解けの予兆」
NEWSポストセブン
新宿の焼肉店で撮影された動画が物議(左は店舗のInstagramより、右は動画撮影者より提供)
《テーブルの上にふっくらとしたネズミが…》新宿・焼肉店での動画が拡散で物議、運営会社は「直後に殺処分と謝罪」「ねずみは薬剤の影響で弱って落下してきたものと推察」
NEWSポストセブン
新年一般参賀に出席された秋篠宮家次女・佳子さま(2026年1月2日、撮影/黒石あみ)
《新年一般参賀で見せた“ハート”》佳子さま、“お気に入り”のエメラルドグリーンドレスをお召しに 刺繍とハートシェイプドネックがエレガントさをプラス
NEWSポストセブン
元仙台高裁判事の岡口基一氏
「裁判所当局が嫌がった核心は白ブリーフだった」 弾劾裁判で法曹資格を失った岡口基一氏が振り返る「岡口裁判の急所」とは 裁判所と司法記者クラブの問題点も指摘
NEWSポストセブン
新年一般参賀に出席された皇后雅子さま(2026年1月2日、撮影/黒石あみ)
《新年一般参賀の“ブルーリンク”コーデ》皇后雅子さまはスタンドカラーでフォーマルに、愛子さまはマオカラー風で親しみやすさを演出
NEWSポストセブン
松田烈被告
「スマホから『映してください』と指示の声が…」ネットで“性的暴行してくれる人を募集”した松田烈被告(28)、被害女性が語った“外道すぎる犯行”
NEWSポストセブン