国内

もしもママ友に夫を寝取られたら… 作家・深沢潮氏特別寄稿

 夫や娘との幸せな日々は、夫の不倫によってあっけなく崩壊する。しかも相手は自分のママ友―現在公開中の中国映画『二重生活』が描き出したあまりに危うい現実は、私たちの足元でも今、起きている。小説『ランチに行きましょう』でママ友の虚と実を綴った作家・深沢潮さんによる特別寄稿。

 * * *
 夫の不倫を知ったとき、妻は途方にくれる。ましてやその相手が仲の良いママ友だったとしたら、ものすごいショックと怒りで、体が震えてしまうかもしれない。

 映画『二重生活』においては、夫の愛人がママ友として妻に近づいてくる、というなんとも恐ろしい展開。ママ友に夫を寝取られるということは、富裕層が愛人を持つことが珍しくない中国社会においての特殊な状況かと思えるのだが、実は決して他人事ではなく、日本でも現実に起きている。

 私は小説の取材として多くのママたちに話を聞く中で、実例をいくつも耳にした。ママ友の夫を実際に寝取ったという女性からは、直接話を聞くことができた。

 某名門大学附属小学校の保護者は卒業生が多く、大学時代の同級生同士がパパ、ママとして子供の学校行事に参加していた。狭い世界だと驚きつつも、運動会の打ち上げの飲み会で、2人は学生時代の話に花が咲き、意気投合する。

 男の妻は、子供の預け先がなくて飲み会に参加していなかった。「また飲もうよ」ということになって連絡先を交換し、その後2人きりで飲んだ席では、共通の知り合いや昔のこと、同じ年齢の子供の話で会話も弾み、久しぶりのときめきを感じる。まったく知らない人ではないという安心感は、家庭を壊さずに楽しむ軽い気持ちの火遊びにはうってつけだったのか、2人は一線を越えて不倫関係になった。

 話を聞く限り、そこに罪悪感があるようには見えなかった。そもそも不倫に対するハードルはとても低いように思われた。“美魔女”という言葉をよく聞くが、小学生の母親は30代から40代で、子供も少し大きくなり、容姿に気を配る余裕が出てくる。今でも自分が「女」としてイケてると思いたい人も多い。中には、夫以外の男と恋愛する、あるいは性の対象となることができると確かめることで、「女」として認めてもらいたい気持ちを満たす人もいて、彼女もその1人。夫は、子供には優しいが仕事に忙しく家を空けがちで、さらには子供が生まれて以来夫婦はセックスレスだった。

 そして、幸か不幸か、相手は枯れていない男。若い独身女性に手を出して本気になられ、家庭を壊されるようなことになるのは嫌だ。しかし相手が妻のママ友であれば、ダブル不倫の後ろめたさでお互いに立場をわきまえているから、絶対に面倒なトラブルは起きないに違いないと愚かにも信じ、深く考えずに禁断の関係になったらしい。

 子供が寝ついたあとに女が家を出て飲み屋で落ち合い、ラブホテルに入る。あるいは男の方が半休をとって、子供が学校に行っている間、真っ昼間からシティーホテルのデイユースで情事にふける。そんなテレビドラマのようなことを繰り返した。

「不倫相手の妻がママ友というのはどんな気持ちだったのか」と聞いたら「かえって仲よくしようと思うようになった」「ママ友を騙しているのが快感だった」と答えた。「彼の子供が、以前よりかわいく思えるようになった」とまで言う。その悪びれなさが恐ろしい。

※女性セブン2015年3月5日号

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン