ビジネス

ホンダ社長交代 花道のない伊東孝紳氏に続投の意欲はあった

新旧社長、握手に込められた思いは?(左=伊東氏、右=八郷氏)

「2015年、飛躍する準備は整いました。今ここで新しく若いリーダーの下、一丸となってチャレンジすべきと考え、社長を引き継ぐことに決めました。約6年にわたり大変お世話になりました」

 2月23日、トップ交代を発表したホンダの伊東孝紳社長。だが、言葉とは裏腹に清々しさは見られず、むしろ無念さが滲み出ているような印象を受けた。記者との質疑応答も含めて30分という会見時間の短さも、その表れだったのかもしれない。

 経済ジャーナリストの福田俊之氏がいう。

「社長任期は6年の区切りはあるけれど、伊東さんは続投に意欲を見せていました。

 なぜなら、自ら掲げた世界販売台数600万台という数字も達成できなかったうえ、度重なる『フィット』のリコールやタカタ問題でホンダの技術力・信用力が低下してしまった。華々しい実績を何も残せず、花道を作らないまま引退はしたくなかったはずです」

 だが、フィットのリコールも発売当初に技術担当者が不具合に気づき、延期を求めたが伊東氏が耳を貸さなかったとの報道もある。それが本当なら、無謀な販売計画と拡大路線で自ら傷口を広げた責任は免れない。

 そんな伊東氏のワンマンぶりに業を煮やしたホンダOBや株主の銀行が、暗に辞任を促したのでは? との噂も飛び交っていただけに、“引責辞任”の疑いは拭えない。

 いずれにせよ、伊東氏からバトンを受け取る八郷隆弘氏(現・常務執行役員)は、逆風が吹き荒れる中、難しい経営の舵取りを迫られることになる。

「伊東さんは2008年の世界同時不況の困難を乗り越えて、さまざまな領域で大ナタを振るい、改革を行ってきた。2015年はその成果やチャレンジを続けてきた結果が形になって皆さまにお届けできる段階となりました」

 会見では、こう伊東氏を持ち上げ、既存の経営方針をそのまま継承する考えを示した八郷氏。どうやら、その決意はまんざらではなさそうだ。

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト