来年の確定申告は2015年1~12月の収入や控除を申告するので、今年すでにふるさと納税をやっていたとしても、さかのぼってOK。法案が通って確定すれば、今年行うふるさと納税の合計額が今までの“上限金額”の約2倍まで広がるのだ。上表はあくまで参考値だが、新しい“上限金額”の目安である。
もう一つの大きな変更点が、会社員にとって煩わしい確定申告が不要になり、手続きが簡素化されるという点だ。
「これも審議中ですが、4月1日以降にふるさと納税をした分から、確定申告をしなくてもいいよう、寄付先の団体が代わりにやってくれるという方向で制度変更を予定しております」(同前)
今までは税務署に「いくらふるさと納税をしたか」を確定申告することで、市区町村にもその情報が伝わっていた。それによって、国から所得税が還付され、市区町村から住民税が控除されていた。しかし、確定申告をしなくて済むとなると、税務署にはその情報が伝わらないため、国は所得税を還付することができなくなってしまう。
一方、自分が住んでいる市区町村は、寄付先の自治体から「ふるさと納税をいくらしたのか」という情報が伝わるので、住民税の控除を行うことは可能だ。
そこで、今までは「所得税の還付+住民税の控除」だったものを、同じ額を「住民税から控除する」という形に変更されることになる。
「ただし、自治体の手間は増えてしまので、確定申告が不要になるのは『5地域まで』と条件がつく予定です」(同前)
地方の自治体では、住民税を担当する市民税課の職員数人だけで年間何百、何千件といったふるさと納税の処理・発送・問い合わせ対応を行っているところも少なくない。そこで、「5地域まで」という条件がつくというわけだ。もし6地域に寄付した場合は、1地域だけ確定申告をすればいいのではなく、6地域全部の確定申告をしなければならない。確定申告をしたくない人は4月1日以降、5地域以内にとどめるのが得策だろう。
ちなみに、確定申告をしなければならない人は、これまで通り「所得税還付+住民税控除」のままであることは注意したい。
※マネーポスト2015年春号