この候補者が立候補する市では、「2000票集めれば当選する」といわれている。そのハードルが低く見えるせいか、今回の選挙では生活の安定のために立候補する「就職組」が急増しているのだとか。
同市では定員に対して1.5倍を超える候補者が争う展開となる模様だが、動機が不純だから各候補者の“政策”といえば、〈安心・安全な街づくり〉〈市民に優しい行政〉といったおよそ政策とはいえないスローガンが目立つ。実際、ビラ配りやポスティングには熱心でも、街頭に立って政策を訴える候補者はほとんどいないそうだ。
前出の候補者が続ける。
「市議選への立候補時に払う供託金は30万円です。ところが、50万都市でも400票程度を取れば没収されない。その程度ならばまったく無名の新人候補者でもなんとかなり、供託金は捨てガネにならないのが現実です。選挙公営を巧く使えば、市議選レベルならタダで選挙ができてしまうどころか、ちょっとした臨時収入を得ることもできる」
もともと選挙公営制度は、経済力の格差によって候補者の当選・落選が左右されないよう、選挙運動の機会均等を図る目的でつくられたものだ。それがいまや「地方議員や候補者のお小遣い」になっている。
※週刊ポスト2015年4月17日号