国際情報

「爆買」する中国人に恐怖感をもたない日本人は能天気すぎる

爆買する中国人観光客

 3月の全国人民代表大会(全人代)で、春節(旧正月)休暇を利用して日本を訪問した中国人観光客の「爆買」に批判が集まったことが香港でも大きな話題になった。

 香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、爆買中国人客のなかには大型液晶テレビ3台、エアコン3台、冷蔵庫1台とシステムキッチンセット、数台のDvDプレーヤー、それに数台の温水洗浄便座(ウォシュレット)と空気清浄機3台など、締めて約10万元(約190万円)分買った人もいるという。この観光客は、これらの製品を小型のコンテナに入れて空輸し、輸送費と関税を含めて全部で20万元(約380万円)を費やした。まさに「爆買」と呼ぶにふさわしい買い方だ。

 10日間の春節休暇中、日本を訪れた中国人観光客は45万人にも及び、買い物に費やした金額は約60億元(約1140億円)に達した。

 香港に住んでいると、中国に対する屈折した感情が表面化しやすいのだろうが、爆買中国人への対応が香港と日本ではあまりに対照的なのに、違和感を覚えてしまう。
 
 香港でも中国人観光客による粉ミルクなど日常品の買い占め騒動が起きていて、香港人の中国への対応はかなり批判的だ。それに比べて、日本人の中国人に対する寛容さは理解しにくい。
 
「中国人が日本に大挙して押し寄せて、そのまま帰らなかったら……」というような恐怖感をもたないことに日本人の脳天気さが表れているのではないか、と言ったら言い過ぎだろうか。
 
 李克強首相は全人代で、日本に対して、すでに終戦から70年も経っているのに、「国家の指導者は、先人の作り上げた業績を継承するだけでなく、先人の犯した罪がもたらした歴史の責任も負わなければならない」と述べるなど対日批判を繰り返している。習近平氏も同じだ。
 
 今年は中国にとって「戦勝70周年」で、7月以降、毎月のように戦争関連の記念日が続くだけに、今年も習近平指導部による「日本叩き」は一層激しくなるだろう。日本は爆買中国人を称賛するよりも、日本叩きにどう対処するかをしっかりと考えておいた方がよいのではないか。
 
●文/ウィリー・ラム 翻訳・構成/相馬勝

※SAPIO2015年5月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

熱愛が報じられた長谷川京子
《磨きがかかる胸元》長谷川京子(47)、熱愛報道の“イケメン紳士”は「7歳下の慶應ボーイ」でアパレル会社を経営 タクシー内キスのカレとは破局か
NEWSポストセブン
水原一平受刑者の一連の賭博スキャンダルがアメリカでドラマ化(gettyimages /共同通信社)
《大谷翔平に新たな悩みのタネ》水原一平受刑者を題材とした米ドラマ、法的な問題はないのか 弁護士が解説する“日米の違い”
NEWSポストセブン
広末涼子(時事通信フォト)
《時速180キロで暴走…》広末涼子の“2026年版カレンダー”は実現するのか “気が引けて”一度は制作を断念 最近はグループチャットに頻繁に“降臨”も
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さまの墓を参拝された天皇皇后両陛下(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《すっごいステキの声も》皇后雅子さま、哀悼のお気持ちがうかがえるお墓参りコーデ 漆黒の宝石「ジェット」でシックに
NEWSポストセブン
前橋市長選挙への立候補を表明する小川晶前市長(時事通信フォト)
〈支援者からのアツい期待に応えるために…〉“ラブホ通い詰め”小川晶氏の前橋市長返り咲きへの“ストーリーづくり”、小川氏が直撃に見せた“印象的な一瞬の表情”
NEWSポストセブン
熱愛が報じられた新木優子と元Hey!Say!JUMPメンバーの中島裕翔
《20歳年上女優との交際中に…》中島裕翔、新木優子との共演直後に“肉食7連泊愛”の過去 その後に変化していた恋愛観
NEWSポストセブン
金を稼ぎたい、モテたい、強くなりたい…“関節技の鬼” 藤原組長が語る「個性を磨いた新日本道場の凄み」《長州力が不器用さを個性に変えられたワケ》
金を稼ぎたい、モテたい、強くなりたい…“関節技の鬼” 藤原組長が語る「個性を磨いた新日本道場の凄み」《長州力が不器用さを個性に変えられたワケ》
NEWSポストセブン
記者会見に臨んだ国分太一(時事通信フォト)
《長期間のビジネスホテル生活》国分太一の“孤独な戦い”を支えていた「妻との通話」「コンビニ徒歩30秒」
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(EPA=時事)
《“勝者と寝る”過激ゲームか》カメラ数台、USBメモリ、ジェルも押収…金髪美女インフルエンサー(26)が“性的コンテンツ制作”で逮捕されなかった背景【バリ島から国外追放】
NEWSポストセブン
「鴨猟」と「鴨場接待」に臨まれた天皇皇后両陛下の長女・愛子さま
(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《ハプニングに「愛子さまも鴨も可愛い」》愛子さま、親しみのあるチェックとダークブラウンのセットアップで各国大使らをもてなす
NEWSポストセブン
SKY-HIが文書で寄せた回答とは(BMSGの公式HPより)
〈SKY-HIこと日高光啓氏の回答全文〉「猛省しております」未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し、自身のバースデーライブ前夜にも24時過ぎに来宅促すメッセージ
週刊ポスト
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン